特集
クーデターと上野・国立西洋美術館…イスタンブール世界遺産委員会リポート

7月15日(金) イスタンブール世界遺産委員会リポート1
イスタンブール直行便は、毎日一便。成田空港午後10時発のトルコ航空に乗って、アタテュルク国際空港に着いたのが、現地時間の午前4時すぎ。
ここは先月28日に30人以上の死者を出した自爆テロが起き、今回もクーデターを起こした部隊が占拠することとなる物騒な空港ですが、さすがにこの時間は静かでした。
タクシーで新市街の繁華街、タクシム広場近くのホテルへ。
飛行機では眠れないタチなので、この時点でかなりヘロヘロ状態です。
ホテルでスーツに着替え(世界遺産委員会はちゃんとした国際会議なので、ラフな格好だと浮いてしまうのです)、歩いて10分ほどの会場、イスタンブール・コングレスセンターへ。会議は午前9時30分から始まるので、寝てる暇などないのです。
会場で、文化庁から会議に参加している知り合いに会うと、
「20日までの間に、イスタンブールでまたテロが起きるという情報があります。注意してください」
と、緊張した様子。外務省からも、治安情報を送る連絡先を登録するようにメールが来ていました。
会議が始まると、開催国であるトルコの議長が、前日14日にフランス・ニースで起きたトラック突入テロの犠牲者への黙祷を呼びかけました。このテロでは80人以上が亡くなっています。
黙祷後、各国が提出している世界遺産候補の審議が始まり、この日は、新たに9つの世界遺産(みんな文化遺産)が決まりました。

午前4時過ぎのアタテュルク空港

会場のイスタンブール・コングレスセンター

ニースでのテロの犠牲者に黙祷する委員会

左江花山のロックアートの文化的景観
(中国)
© Yan Zaoxin

ナーランダー・マハーヴィハーラの考古遺跡
(インド)
© Rajneesh Raj

ペルシャのカナート
(イラン)
© S.H. Rashedi

ナン・マトール:東ミクロネシアの祭式遺跡
(ミクロネシア)
© Osamu Kataoka

ステチュツィー 中世の墓碑群
(クロアチア、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロ)
© Adnan Šahbaz

フィリッピの古代遺跡
(ギリシャ)
© Hellenic Ministry of Culture and Sports

アンテケラの巨石遺跡
(スペイン)
© Conjunto Arqueológico Dólmenes de Antequera

アニの考古遺跡
(トルコ)
© Fahriye Bayram

ゴーハム洞窟群
(イギリス)
© Clive Finlayson, Gibraltar Museum
地元トルコの「アニの考古遺跡」は、シルクロードの商業で栄えた都市の遺跡です。登録が決まった瞬間、トルコのみなさんは大喜びでした。
注目の上野・国立西洋美術館を含む「ル・コルビジェの建築作品」の審議まであと少しというところで、この日の委員会は午後6時半に終了。
夕ご飯を食べて、ホテルに戻り、ようやく眠ることが出来たのでした…

「アニの考古遺跡」登録で喜ぶトルコ代表団
プロデューサー 堤