特集

最南端の世界遺産 マッコーリー島

絶海の孤島でたくましく生きるペンギン達

―それだけ大規模なコロニーがいくつもあるとなると、島にはかなりの数のペンギンが生息しているんですね。

最南端の世界遺産 マッコーリー島

小澤:そうですね。しかしその分、ペンギンの天敵となる動物も生息しています。島にはゾウアザラシとヒョウアザラシという2種類のアザラシがいました。ゾウアザラシは雄だと4m以上にもなる大型のアザラシで、主にイカや魚を捕食し、性格は温厚でいつも寝ています。一方、ヒョウアザラシは体は小さいのですが、非常に獰猛でペンギンたちを捕食します。また、われわれが撮影をしている時には、キングペンギンのコロニーに海鳥が近づいてきて、卵を奪い取るという場面もありました。ペンギンは必死で卵を守ろうと抵抗するのですが、しつこく迫る鳥になすすべなく最後には卵を奪われていました。

―人に慣れていない野生のペンギンの撮影は大変だったと思うのですが、どのように撮影されたのでしょうか。

小澤:基本的にこちらからペンギンに近づいていくことは禁じられているので、適度な距離を保ちながらの撮影となりました。コロニーの近くには研究者たちが使う観察台が設置されているので、そこから撮影をしたり、竿の先やラジコンカーにカメラをつけてコロニーの撮影を試みました。

―ラジコンでペンギンを足下から撮影した映像は見応えがありそうです。それでは最後に、視聴者の皆様にメッセージをお願いします。

小澤:荒ぶる波と南極の厳しい寒波が吹きつけるマッコーリー島。その地でたくましく生きるペンギンたちの姿は自然の美しさと儚さを感じさせてくれます。観光での立ち入りが禁じられているこの島の映像は、今回の放送が本邦初公開となりますので、皆様お見逃しなく。

世界遺産の歩き方

マッコーリー島にある基地の中では、温室栽培が行なわれている。新鮮な食物の調達が難しいこの島では、温室で収穫した野菜や果物が基地の隊員たちの貴重な栄養源となっているようだ。また、隊員の娯楽のひとつとして地ビールの製造も行なわれている。各自が醸造した自慢のビールは、年に一度開催される地ビールコンテストで振る舞われる。