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最南端の世界遺産 マッコーリー島

絶海の孤島でたくましく生きるペンギン達

―そこまで厳重なチェックを行なうというのは驚きですね。これまでにマッコーリー島に外来種が入ってきたということはあったのでしょうか。

最南端の世界遺産 マッコーリー島

小澤:この島では19世紀ごろにアザラシ漁が行なわれており、当時ウサギやネズミ、ネコなどが持ち込まれました。これらの動物は、島の植物を掘り返すなどして、生態系を大きく乱しました。そのため、現在マッコーリー島では自然保護活動の一環として外来種の駆除作業が行なわれています。

―自然保護活動とは、島で暮らす人々が行なっているのですか。

小澤:現在、島では一般人の居住が認められていません。そのため自然保護活動も島内の観測基地の隊員によって行なわれています。この島ではオーストラリアの国家プロジェクトとして、動植物や気象など、あらゆるものの観測が行なわれているのです。

―国をあげて研究が進められているのですね。

小澤:今回の取材も国家プロジェクトに同行したような形でした。島では研究と自然保護が最優先事項となるので、われわれの撮影は彼らの活動の合間を縫って行ないました。

―そんな厳しい条件のもと取材が許されたマッコーリー島では、どんな生き物が暮らしていたのでしょうか。

小澤:島には野生のペンギンやアザラシが多く生息しています。中でもロイヤルペンギンはこの島だけにしかいない固有種です。ほかにも、キングペンギンという種がいますが、こちらはマッコーリー島以外でも生息している種になります。

―ペンギンたちは島でどのように暮らしているのですか。

小澤:マッコーリー島のペンギンは数千から数万羽単位でコロニーを作って暮らしています。コロニーは島のいたるところに点在してありました。