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アフリカ特集

アフリカ特集II ジャー動物保護区

Q:その先住民の暮らしとは、どういったものなのでしょうか?

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彼らは「バカ」と呼ばれる人々で、バカとは先住民の言葉で「鳥のように自由」を意味します。バカの人々は、森に完全に依存して昔ながらの狩猟採集生活を送っているのです。そのため、“森の民”とも言われています。狩猟と言っても、決して捕りすぎたり、絶滅させたりすることはなく、森に暮らす生き物として植物および動物と共生しているのです。食べ物以外も、生活に必要な基本的なものはすべて森から採取していて、例えば木の皮を剥いで薬として利用したり、住居も木の枝や葉で作っていたりします。取材のために彼らの集落の近くにキャンプをした際、猛烈な雷雨があったのですが、われわれのテントの中の寝袋などはびしょぬれになったにもかかわらず、枝葉で作られた彼らの住居はまったく雨漏りしていませんでした。これには「さすが“森の民”の家だな」と驚きましたね。

Q:バカの人々は、何人ぐらいで暮らしているのでしょうか?

バカ全体の人口は数千人ですが、取材した集落は10家族、合計30〜40人ぐらいが暮らすコミュニティーでした。彼らは、1つの場所で狩りをして、しばらくすると移動してまた別の場所に家を建て狩猟をするということを繰り返しています。森から得たもので暮らしているため、彼らが去った場所にはもともとそこにあったものしか残らず、いずれ自然に還ります。これはある意味、“究極のエコ”と言える生活だと思いましたね。

Q:バカの人々は、現代的な生活とは関わりなく暮らしているのでしょうか?

まったく関わらずに生きている訳ではないようで、最近は近くの町まで行って畑を耕したり、銃を借りて狩りをするなどして、賃金を受け取っている人もいます。というのは、子どもたちを学校に通わせるために現金での収入を必要としているからです。とはいえ、基本はやはり狩猟採集生活で、森に依存した暮らしを送っています。森の民である彼らは「森の精霊」を対象とした信仰を持っていて、40以上のいろいろな精霊を祭っているのです。