特集
続々登場!秋のラインナップ
10/26放送 イエローストーン国立公園(アメリカ)
アメリカ大陸らしい雄大な草原の景色の中にアメリカバイソンの群れが悠々と移動している。アメリカ人にとっての開拓時代の原風景という感じの場所で、何十メートルも熱水を吹き上げる間欠泉がいくつもあることでも知られています。実はここ、1872年に出来た世界で始めての国立公園なんです。
以前、何かの資料で読んだことがあるんですが、英語の「WILDERNESS」という言葉の意味は、昔は「荒地」、「用を成さない土地」というあまり良くないニュアンスで使われることのほうが一般的だったとか。今では「自然のまま」といういい意味で使われることが多いですよね。この世界初の国立公園ができた当時は、ゴールドラッシュがまだ続いていた頃で、「WILDERNESS」とは、「用を成さない」という意味合いのほうが強かった時代ではなかったでしょうか?
でもそんな時代に「この自然をどうにかこのままの姿で残さなくてはいけない」と議会で発議されたのです。いったい何があったのか?非常に興味がありますね。初めて国が自然を守ろうと動き出した、その発端となったイエローストーン国立公園の魅力と言いましょうか、原野や神々しい間欠泉を見たりして、きっと当時の人達の意識はがらりと変わったんでしょうね。実は僕もディレクター時代に取材した事があるのですが、国立公園として保護がきっちりとなされていました。ゲートがあり、料金を払って中に入った後も厳しいルールや立ち振る舞いに関しての制限もあります。自然を自然のままにするシステムがしっかりと作られている。しかし、そこにたどり着くまでには、草食獣を守るために狼を排除してみたり、それが原因で草食獣が増えすぎてしまったりと試行錯誤の繰り返しもあった。当然イエローストーン国立公園ならではのダイナミックな景観美や自然現象を見てもらいたいのだけども、「自然保護」という考えをいち早くはっきりと打ち出した世界初の国立公園の歴史そのものを全うに触れてみてはどうかという考えで、今まさに取材中です。(笑)
11/2放送 ケルン大聖堂(ドイツ)
夕方の放送時間になってからは、キリスト教の大聖堂を紹介するのはこれが初めてとなります。
世界遺産の中に教会って非常にたくさんあるんですが、ビジュアル的に興味を持ちやすいものを、と、ある時までは世界で最高の高さを誇っていたケルン大聖堂を選びました。高さは150mあまり。今でこそ200m、300mあたりまえの時代ですが、鉄筋コンクリートのない時代、当時の人々にそれほどの高さの建造物というのはどう見えていただろうか、と想像を巡らせながらみていただきたいですね。大聖堂の正面にたつと天に向かってそびえる二つの尖塔が目に付きます。なぜそれほどまで天を目指したのか?
昔から太陽や月、空を崇める事って世界共通にあったと思うんですが、そんな建物を作った当時の人たちの精神性とは?そこには崇高なものもあれば、世俗的な事情、国同士の見栄の張り合いなど、美しい部分と人間の業の部分を探ることで、ある種、人類が共通に持ち得る美意識、価値観念、そんなものを感じ取れたら、と、思いながらいま、番組の完成を待っています。
11/9放送予定 自由の女神像(アメリカ)
あの「9.11」以降、ニューヨークでの取材は非常に厳しくなりましたが、やっと撮影が実現しました。ちょうどアメリカ大統領選の時期に合わせられそうなので楽しみにしています。
アメリカというのはそもそも移民の国でニューヨークはそのひとつの入り口でした。そこに象徴的に立っている像が自由の女神像です。というのは皆さんご存知かと思いますが、調べてみたら当時の移民や移民の2世の方にインタビューを取ったボイスレコードがあるという情報が出てきました。それを通して、移民のみた「自由の女神」なり、「アメリカという国」といったものを見てみたい。そしてまた、今のニューヨークの中での自由の女神の存在はどうなんだろうか? そういう方向性でいこうかなと思っています。もちろんエッフェルによる設計であることなど女神像そのものも詳しくみたい。
「自由」とはものすごく重い言葉ですよね。その意味を改めて考えさせられるような体験もできればしてみたい。これも今まさに取材中です。楽しみにしていてください。