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2018年6月17日放送
テンブレケ神父の水道橋

40キロの水道

テンブレケ神父がつくった40キロにも及ぶ水道システムは、テカヘテ山麓の湧水群から、傾斜を利用して流れている。そのほとんどが、地中を流れ、途中3つの谷をまたぐために水道橋が設けられている。水道橋は、水道の総延長のわずか、3%にすぎない。

先住民の技術

一層構造のアーチの水道橋としては、世界一の高さを誇るテペヤワルコ水道橋。ローマの水道橋が建設の足場として木を使ったのに対し、木の育たない高原地帯では、メキシコ先住民の技術がいかされた。足場の建材として、アドベ、日干しレンガを積み上げ、使った。

ピラミッドとの関係

ローマの水道橋は、石造。一方、テペヤワルコ水道橋は、古来からピラミッド建造に使われてきたモルタルで石と石を貼り合わせ造られた。モルタルには殺菌性のあるウチワサボテンの樹液が入れられ、虫や雑草がついてモルタルに隙間ができることを防いだ。

メキシコ中央高原は、砂漠にも似た乾燥地帯。古くから、水不足に悩まされてきた。16世紀、福音のためにこの地に入ったフランシスコ会の宣教師、テンブレケ神父は壮大な水道システムを考案する。水道の中にあって、特筆すべきは渓谷をまたぐ水道橋だった。それは、紀元前から続く古代ローマの技術と、メキシコ先住民の叡智の結晶。世界でも他に類例を見ない、そのユニークな建造物は、450年の時を経てもいまだ建ち続けている。

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