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2017年1月22日放送
オマーンの水利システム

砂漠の村を支える大水路網

水路を張り巡らせる村では、人々は水路で水浴びや洗濯、そしてお祈り前のお清めなどさまざまに利用していました。
日中50度を超える砂漠地帯で水は文字通り命の水なのです。
そして水は最後にナツメヤシの畑に流れ込む仕組み。あますことなく利用するのです。

潜入!地下18mの水のトンネル

山裾の水源から村に水を引くため深さ18mのトンネルを掘り微妙な傾斜をつけて村まで水を引きました。
そして、大切な村には特別な役職「水長(みずおさ)」が置かれました。
水長は各畑に水を流す時間を管理するため村人から信頼のされる人物が選ばれました。

武器にもなったナツメヤシ

部族間の抗争が激しかった頃、ナツメヤシの煮汁を攻めてきた敵に浴びせることもありました。
しかし、今は敬虔なイスラム信者である彼らは毎日の礼拝を欠かさず、その都度ファラジの水で身を清め、礼拝後には必ずナツメヤシを食べる習慣を守っています。

中東オマーンの砂漠地帯に突如現れる「緑のオアシス」。国民食とも言われるナツメヤシの畑です。
そこに2000年以上も前から存在するファラジという灌漑施設。
オマーンには石灰岩の山々が連なりますが、先人はその裾野の地下深くに水脈を掘り当てました。
驚くべき技術でトンネルを掘り、網目のように水路を村中に巡らし、砂漠の生活を可能にしたのです。
水路を中心に生きるオマーンの人々は古きよき中東の生活を守っています。

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