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2012年5月27日放送
杭州西湖の文化的景観

造られた西湖十景

西湖10景は、中国人が愛する山水画で描かれます。
その風景を生んだのは景観改造という中国人独特の美意識でした。自然の姿に人の手を加えるのです。
2つの堤と3つの島が人工的に造られ、西湖は理想郷となりました。

世界初の旅行ガイドブック

南宋の時代、印刷技術が発達し、それまで貴族たちが独占してきた芸術を庶民に広めます。
版木で刷られた西湖10景は、世界初の旅行ガイドとなりました。
地方からの観光客はそれを手に西湖の風情を楽しんだのです。

皇帝が愛した最高の茶

世界最大の都市だった杭州。西湖の畔には茶館が立ち並びました。
春は茶摘みの季節。この地方の茶は、味、香、色、形の「四絶」を備えると名高い龍井茶です。
岩から湧き出る名水が、究極の茶を生む秘密でした。

杭州西湖は中国人の考える理想郷です。湖面をつつみこむ春霞。ハスの花が風にそよぐ夏。秋には中秋の名月を映し、冬の残雪が静けさを誘います。四季折々の表情をもつ湖も、
かつては沼地のような干潟でした。長い年月をかけて整備し、美しい景観をつくりだしたのです。その大事業を成し遂げたのは、中国を代表する2人の大詩人でした。ひとりは白楽天。もうひとりは蘇東坡です。彼らの熱意と美意識が、西湖を誕生させたのです。

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