放送アーカイブ

  • 放送内容
  • ギャラリー
  • 遺産データ・アクセスガイド

2010年11月21日放送
絵画の旅スペシャルI:山水画を生んだ原風景

世界遺産の歩き方コーナーでは、京都の「龍安寺石庭」を紹介。
これは、日本の美意識を極めた「枯山水」の庭です。敷きつめた白砂に描いた波紋は、水を使わず、水の存在を感じさせます。
ここには「引き算の美学」があるといいます。原点は、中国の山水画にありました。色を使わず、墨の濃淡だけで描く。
黒い墨に無限の色彩を感じさせるように、水のない庭に海原のような広がりを感じさせたのです。

山水画は室内のアトリエで描かれます。
19世紀、携帯絵の具の発明により、印象派の画家たちは、戸外へ出て自然の風景を描きました。一方、山水画家たちは、実際の風景を見ずに、室内で描きます、心に浮かんだ風景を下書きもせず一気に描くのです。山水画は写実ではなく、中国人の愛する理想郷を描いたものなのです。
登場する3人の画家が、それぞれのスタイル、技法で、みごとな山水画を描きます。

2週にわたる特集、「中国の山水画」と「フランスの印象派」。
1回目は、1000年ほど前に中国で誕生した「山水画の世界」です。
中国人は、深山幽谷、仙人の住む秘境の地を、水墨による独特な技法で描いてきました。なかでも山水画の聖地とも呼ばれる場所があります。古来より文人墨客が訪れた「黄山」や「泰山」です。現在は世界遺産。山水画を生んだ風景をめぐる旅は、まさに世界遺産の魅力に浸る旅です。
わき立つ雲海、霧に包まれる峰々。幻想的な光景は、画家の創作意欲を刺激してきました。中国の世界遺産を6ヶ所紹介しながら、中国人の愛する山水画の楽しみ方を紹介します。