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2010年10月31日放送
イビサ 生物多様性と文化

アルファベットの発明者

イビサ島に初めて居住したのは、地中海の交易で勢力を拡大したフェニキア人。
彼らはアルファベットを発明した民として知られる。
彼らは遺跡をほとんど残していないが、イビサにはわずかながら遺跡が残っていて世界遺産に登録されている。フェニキア人が開発した塩田や地下墓地から彼らの姿に迫る。

海賊に狙われた島

地中海の西に位置し、大陸に近いこともあってイビサ島は古代から交通の要衝。
交易で栄えたが、同時に海賊に狙われやすかった。島民たちは自分たちで海岸線に見張りの塔を建て、海賊が近づくとのろしを上げて知らせた。
そして町の中心部には今も要塞の中に街があり、さまざまな民族の手によって様式がミックスした独特の景観を残している。

海へ還った草

文化・自然の複合遺産であるイビサ島は、周囲の美しい海がそのエリアに含まれる。
きれいな海が保たれているのは、この島を取り囲む「ポシドニア」という植物のおかげ。陸から海へ還って行ったこの草は、海中で受粉し実をつける。
そして、人々は昔からポシドニアを大切にし、自然を壊さずに暮してきたことがイビサの海の美しさの理由の1つでもあるのだ。

地中海のリゾートとして世界的に知られるイビサ島。
華やかな夜のクラブタウンとしてではなく、複合遺産としてのフェニキア人から始まる島の歴史や美しい海を守る植物の存在は意外に知られていない。
さまざまな民族の支配を受けてきたことで現在の島の独特の景観が作られてきた。
そして海を守る植物と島の人々との間にある深いつながりを通して、この島の自然の類まれな美しさの理由を探る。

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