インタビュー

今井美樹さん ― 前編

11年ぶりの連続ドラマですが、まずはご感想をお願いします。

企画の石丸さんから、ドラマのお話をいただいたとき、すごく丁重にお断りしたんです。そのときは、ドラマをやる自信がなかったんですね。ドラマの撮影がどれだけ過酷かということは、11年前のときにも感じていましたし、その苦労を知っているので、乗り切れる自信がありませんでした。それに、家族や娘と過ごす時間はとても大切だという気持ちもありましたし、その時間をドラマの撮影に取られてしまうということも、母親として辛いことでした。
それと、このドラマの企画で「若い男性と恋に落ちる」というプロットに関しても、あまりリアリティーを感じられませんでした。私の年代の女性が社会に生きている中で、いろいろと感じることやもっと大切なことがたくさんあるのではないかしら…と、そんな想いもあって、久しぶりにドラマの仕事をするに当たり、「今の私がラブストーリーを演じる」ということに意義を見出せなかった。ドラマの題材を考えたとして、今の私の中では、ラブストーリーはプライオリティーが低く、リアリティーがないと思えたんです。
だけど、石丸さんはこのドラマを“ヒューマンラブストーリー”とおしゃったんですね。お互いが抱えている環境がある中で出会い、なぜ惹かれあうようになるのか? 萌奈美さんには家庭があり娘がいて、祐にもいままで生きてきた環境がある。そういった中で惹かれあう二人の間には、恋とか恋愛という枠では納まらない、大きな意味での人間愛があると言われたんです。好きだから一緒にいたいということだけではなく、もっと大きく深く、人として人を大切に想う愛の形の物語、つまりそれが“ヒューマンラブストーリー”ということだと思いますが、このドラマもそのような愛を描きたいんだとおっしゃってくれて、そこに共感しました。

撮影現場の雰囲気はいかがですか?

現場ではスタッフの皆さんが全精力を注いでくれて、私をその場にいさせてくれているという感覚です。撮影に入る前は、本来は私がいる場所じゃないという“アウェー感”がものすごくありました。でもそれとは逆に、連続ドラマの仕事は11年ぶりでしたけど、以前から知っている方に何人も逢えましたし、緑山スタジオなど、旧知の仲の家へ久しぶりに遊びに来たという感じで「11年も経っていたかな…」という感覚もあり、必要以上に緊張することはありませんでした。

萌奈美はどんな女性だと思われますか?

萌奈美さんの家庭はデフォルメされた部分もありますけど、ごく普通の妻や母親と同じように、今ある環境、現状の家庭の幸せを守るために、自分のなにかを手放してでも、今ある力を注いでいる女性だと思います。自分の周りにあるものを“受け入れていく生き方”の女性なんでしょうね。
あと、私が当初から気になっていることは、娘のことですね。重い病気を背負った萌奈美さんが、自分の娘に対してどう向き合っていくのか? 辛い選択が待っているでしょうけど、母親としての萌奈美さんの今後が気になります。

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