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BACK NUMBER #676 2019.7.6 O.A.

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日本人初の4階級制覇“強い相手と戦いたい”井岡一翔の新たな挑戦
2019年、日本ボクシング界に新たな歴史が刻まれた。日本人初の4階級制覇を成し遂げた、井岡一翔。一度はリングを去った男がいかにしてこの偉業を達成したのか。
2019年5月、髪を短く刈り込んだ井岡。4階級制覇を懸けた大一番を1か月後に控えていた。その間は、トレーナーの佐々木との共同生活。練習以外では、食材の買い出しに出かける程度で、食事は佐々木が作る。ボクシングだけに集中する毎日を送っていた。練習拠点をアメリカにすることで、いろいろなタイプのボクサーと練習が可能になる。井岡は、2018年から海外のリングに立つようになったが、海外の試合は、実力が認められたボクサーしか呼ばれない。海外の舞台にこだわる裏には日本でベルトを守り続けた頃に感じていた葛藤があったという。井岡は2017年の大晦日に一度引退している。2015年に当時最速で3階級制覇を達成。そこから5戦連続で防衛に成功。まさに全盛期と言えるタイミングでの引退に、大きな違和感を覚えた人も多かったのではないだろうか。その当時の思いとは…日本では、選手の所属するジムがマッチメイクから興行を手掛けることが多く、そのチケット収入でジムの経営を支えている。そのため、例えば会場は、集客の見込める地元が多くなり、日本に来ない選手との対戦は成立しづらい。海外のスター選手と戦いたい、そう思っても望んだ対戦が実現しない現実。次第に井岡はモチベーションを失い、引退を決断した。
そんな井岡に転機が訪れた。2018年2月アメリカ、観戦に訪れたイベントには、各国の世界チャンピオンたちが一挙に集結。井岡がやりたいと思っていた試合はそこにあった。本場アメリカではファンが望む試合をすれば視聴収入が得られるため、プロモーターと呼ばれる人間が次々とビックマッチを実現していた。最高峰の戦いを目にしたことが、井岡の心に再び火をつけた。海外で戦っていこうと考えた井岡は、アメリカでプロモーターと契約。2018年9月「SUPERFLY」への参加が決まった。それに伴って自身4つ目の階級であるスーパーフライ級に階級を上げた井岡。この階級で初めての試合ながら、井岡は復帰戦を勝利で飾った。すると、2018年大晦日、井岡は復帰2戦目で早くも世界タイトルマッチが決まり、4階級制覇への挑戦権を得る。相手は世界戦18戦無敗を誇る、フィリピンの3階級王者だ。しかしこの試合判定負けをし、井岡は後がない状況に追い込まれた。そんな中、思いもよらぬ朗報が舞い込む。王座が返上され、井岡に再び4階級制覇のチャンスが訪れたのだ。タイトルマッチに2戦連続で負けるようなことがあれば、海外でのビックマッチに呼ばれることはない。井岡自身そのことは痛いほどわかっていた。そして、いよいよ日本人初の4階級制覇をかけた世界戦の日を迎えた。白熱した試合を繰り広げ、ついに井岡は日本人初の4階級制覇を成し遂げた。ボクシング界の歴史に新たに名を刻んだ瞬間だ。試合後、井岡の目には涙が滲んでいた。
一度はリングを離れながら、またも日本ボクシング界に歴史を刻んだ、井岡一翔。チャンピオンの目は、すでに海外に向いている。更なる強敵を求め戦い続ける、井岡の次なる挑戦を見守りたい。
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