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BACK NUMBER #669 2019.5.18 O.A.

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歴史と伝統の継承 歌舞伎界の若きプリンス 七代目・尾上丑之助
日本の伝統芸能であり、400年の伝統を誇る歌舞伎。新時代、令和の幕開けを飾る2019年5月の大歌舞伎が連日大反響を博していた。その主役を任されているのは、まだ5歳の幼い男の子。七代目・尾上丑之助 本名・寺嶋和史くん。父方は人間国宝である祖父・尾上菊五郎を筆頭に家族全員がその名を轟かせる、音羽屋。父、五代目・尾上菊之助は歌舞伎界の次世代を担うリーダー的存在だ。さらに、母・瓔子さんは、人間国宝・中村吉右衛門の四女とまさに俳優一家だ。そんな一家のサラブレットとして生まれた和史くんはわずか5歳で、尾上丑之助の名を襲名し初舞台を踏むことになった。
和史くんは、幼くして歌舞伎の虜になっていた。日課は、歌舞伎俳優の名前が載った名鑑を見ること。父の歌舞伎を観るのも大好きで、中でもお気に入りは、殺陣のある立ち廻りだという。一方、お母さんの前ではまだまだ甘えん坊。歌舞伎界の御曹司とはいえまだ5歳のやんちゃ盛りの少年だ。
襲名披露公演に向けて始動したのは、2019年2月。宣伝用のポスター撮影から始まった。和史くんが演じるのは、源義経の幼少期を描いた『絵本牛若丸』かつて、父・菊之助が丑之助を襲名した際に演じたのと同じ演目だ。菊之助は、息子が初舞台に立つにあたり、すべてを自分で教えると決めていた。そう考えたのには、菊之助自身の父親としての思いが秘められていた。1977年、名門・音羽屋の長男として生まれた菊之助は、6歳の時、丑之助を襲名。菊之助自身も、父である後の人間国宝・尾上菊五郎のもと、名門を引き継いでいく宿命の中、生きてきた。時を経て、自分が次の世代である息子に歌舞伎を継承する立場になったとき、ふと思い出したのが、父のことが大好きで、父の真似ばかりをしていた、幼少期の自分の姿だったという。息子を歌舞伎であり家の芸を守れる一員として育てたい。自分の子供に自分が出来ることをやろうと考えたのだ。
芝居の稽古は連日行われた。菊之助が幼い息子を教える上で何よりも大切にしているのは、歌舞伎を好きな気持ちを失わせないこと。息子がこれから歩むのは、かつて自分も通ってきた名門の御曹司としての道。その道のりには、重圧や苦悩が幾度となく襲い掛かる。そんなとき、常に礎となったのは、歌舞伎を愛する気持ちだという。息子にも歌舞伎に魅力を感じながら歩んで欲しい。そんな親心だった。
そして迎えた、本番初日。この日から、尾上丑之助としての歌舞伎人生がはじまる。いよいよ満席の観客を前に舞台の幕が開く。人間国宝の2人の祖父を両脇に丑之助が舞台へ。そこに、弁慶役の父・菊之助が登場。2人の祖父が見守る中、溌剌とした演技を見せる。そんな丑之助を見つめる2人の人間国宝も、すっかりおじいちゃんの眼差しに。そして、親子2人だけで演じる見せ場の場面。弁慶と牛若丸に本来の親子の姿を重ね合わせた演出。微笑ましい親子の姿に、観客は引き込まれていった。大団円で終わりを告げる舞台は、大盛況で幕を閉じた。
新時代の歌舞伎界を担う、5歳の御曹司。家族に支えられ、大きな一歩を踏んだ七代目・尾上丑之助に、輝かしい未来が待っている。
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