バックナンバー:バース・デイ

BACK NUMBER #594 2017.11.11 O.A.

バックナンバー
横浜DeNA・ラミレス監督 日本シリーズ激闘の真実
近年稀に見る名勝負となった2017年の日本シリーズ。激闘から3日後、DeNAのラミレス監督が我々のカメラの前で戦いのすべてを語ってくれた。崖っぷちの3連敗から、いかにしてチームをよみがえらせたのか。そこには、ある意外な決断があった。そして、日本シリーズで唯一後悔したある采配とは?長きに渡り弱小チームのレッテルを貼られてきたDeNAが19年ぶりに戦った日本シリーズ。その激闘の真実。
ソフトバンクの4勝2敗で幕を閉じた日本シリーズ。DeNAは3連敗の後、驚異的な粘りを見せ、史上最強と言われるソフトバンクを苦しめ大いに盛り上げた。リーグ戦では、セ・リーグ王者の広島に14.5ゲーム差をつけられての3位。さらに両チームの年俸を比較してみると、ソフトバンクは12球団トップの7013万円。対するDeNAは最も少ない2600万円。対戦前は名だたる評論家たちも圧倒的にソフトバンク有利と予想していた。そんな戦力差のある相手にラミレス監督はどう立ち向かったのか。
ラミレスがDeNAの監督になって2年。采配を振るう上で最も重要視しているのがデータ分析である。そんなラミレス監督が、強力なソフトバンク打線を抑えるカギと考えたのは左ピッチャーだった。そのヒントになったのはソフトバンクが楽天と戦ったクライマックスシリーズ第1戦と第2戦。楽天の左ピッチャーにソフトバンク打線が沈黙。緩急のあるピッチングに翻弄され2連敗を喫していた。DeNAは、先発の左ピッチャーを3人も抱える12球団No.1の左王国と言われている。この2年、交流戦での対ソフトバンクの成績は1勝5敗。その1勝は、左のエース・今永昇太が抑え勝利したものだった。その今永に加え、3年目の石田健大とルーキーの浜口遥大、2人の左ピッチャーをどこで先発させるか。しかし第1戦、ラミレス監督が先発に指名したのは、なんと左のエース今永ではなく、右ピッチャーの井納翔一だった。ラミレス監督が重視したのはあるデータだった。それはソフトバンク・千賀滉大のヤフオクドームでの成績。2017年シーズン、千賀がヤフオクドームで投げたのは9試合。そこで6勝2敗という好成績を挙げていた。あえてエース同士を投げさせる事を避け、仮に初戦を落としても、左3枚を残しておくという作戦だった。さらにラミレス監督がソフトバンク打線の中で最も警戒していたのは、1番バッター柳田悠岐だった。ラミレス監督が指示した柳田対策はストライクゾーンで勝負しないこと。常にフルスイングでバットを振ってくる柳田は、ボール球にも手を出すという特徴があった。しかし第1戦、警戒していた柳田にいきなりヒットを許し先制。相手に主導権を渡してしまった。1戦目を10対1の大差で敗れると2戦目も敗れた。さらに横浜に舞台を移した3戦目も先頭バッターの柳田を抑えられず、3試合連続で初回に先制点を与えてしまい3連敗。DeNAは崖っぷちに立たされた。力の差を見せつけられたまま日本シリーズ敗退か。誰もがそう思った。しかしこの3連敗中のあるシーンに、ラミレス監督は一筋の光を見出したと言う。3戦目、2点リードされて迎えた6回裏。1アウト2、3塁、バッターは7番柴田。なんと粘りに粘って12球目、フォアボールを選択。さらに2アウト後、そして9番倉本も12球粘って内野安打。1点差に迫った。
「選手たちは、決して諦めていない」
試合には敗れたが、この一連のプレーで選手たちを信じる気持ちがより強くなり、あえて余計な事は言わないようにしたという。そんなラミレス監督の思いに応えるように第4戦の試合前、選手たちが率先して声をあげた。そんな中迎えた第4戦。先発はルーキーながら10勝をあげた左ピッチャー浜口。要注意の先頭バッター柳田に対し、ラミレス監督が最も警戒していた柳田を4戦目にして初めて初回に打ち取った。すると浜口は、緩急を生かしたピッチングで波に乗った。なんと7回までソフトバンク打線をノーヒットに抑える完璧な投球を見せる。これまでの3連敗がウソの様に投打ががっちりかみ合い、強力打線を完封。DeNAが19年ぶりに日本シリーズで勝利をつかんだ。息を吹き返し臨んだ第5戦。勢いは完全にDeNAだった。するとこの男が目を覚ます。チームのキャプテンであり主砲の筒香。4戦目までは打点0と当たりが出ていなかったが、逆転となるホームラン。さらにはチームを勢いづかせるタイムリーも放った。3連敗のどん底から息を吹き返し、再び福岡へと乗り込んだラミレス監督率いる横浜DeNAベイスターズ。運命の第6戦の先発は、左のエース今永に託した。この試合、ラミレス監督が采配で後悔しているプレーがあるという。それは2回の攻撃。ソフトバンク先発の東浜巨を攻め立て、1アウト、ランナー1-3塁、バッターは嶺井博希。ゲッツーを避けるため1塁ランナーの白崎浩之を走らせたが、バッターは三振。さらにランナーはアウト。チャンスを逃してしまった。その言葉を物語るように、次のソフトバンクの攻撃で松田にホームランを浴び先制を許した。しかし、リーグ戦では打率1割台と不振が続いていた白崎をこの大舞台でスタメンに抜擢しホームラン。さらに今永の好投でDeNAが3対1とリードして終盤を迎える。DeNAの勢いは続いている。多くの人の目にはそう映った。だがここでラミレス監督が後に勝敗を分けたと語る場面が訪れる。それは8回、1打同点のピンチで柳田を迎えた場面。ピッチャーは左の中継ぎエース砂田。ピッチャーがボールを捕った時点で、3塁ランナーは飛び出していた。このランナーをアウトにし、1点を防ぐことができた。そしてDeNA1点リードで迎えた9回裏。自分たちで招いた1点差という場面から同点とされてしまった。流れは完全にソフトバンクへ。工藤監督も勝利への執念を見せ、ソフトバンクの守護神・サファテに。日本に来て最長となる3インニングを投げさせた。そして延長11回、3連敗からの奇跡の大逆転を狙った横浜DeNAベイスターズ。しかし、あと一歩及ばなかった。試合後、ラミレス監督と工藤監督は熱い握手を交わした。
長きに渡り低迷を続けてきたDeNAも、ここ数年で力をつけた。この日本シリーズでの経験は、選手たちにとって大きな自信となったに違いない。日本一を目指し、ラミレス監督の戦いは続く。
[BACKNUMBER]
banner_AD
Loading…

SNS

TBSトップページサイトマップ Copyright© 1995-2019, Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved.