バックナンバー:バース・デイ

BACK NUMBER #590 2017.10.14 O.A.

バックナンバー
ボートレーサー・中田竜太 妻と二人三脚で頂点に挑む
同じ夢を持つ2人は19歳で出会い24歳の時に結婚。そして今、二人三脚で戦い続けている。2人は夫婦合わせ、年間6000万円以上を稼ぎ出す注目のボートレーサー夫婦。しかし、その現実は過酷だ。夫婦は1年中それぞれ全国を転戦。幼い子どもがいる中、家族3人が一緒に過ごせるのは月に5日ほど。家族への思いを胸に夫はボートレース界の頂点を目指し、ビッグタイトルに挑む。果たしてその結末は…。
世代交代。そんなうねりが今、卓球・フィギアスケート・体操など日本の様々なスポーツ界で起きている。台頭する若手とベテラン選手の熾烈な競争。水上の格闘技、ボートレースの世界も例外ではない。実はかつてない状況を迎えつつある。ボートレースは、1年間、養成所で訓練を受けただけでプロデビューする競技。経験はプロになってから積み、徐々に強くなるため、若手が活躍するのは容易ではない。事実、これまで最高峰の大会・SGで活躍してきたのはベテラン選手ばかり。ところが近年、そのSGを制覇する若手が次々登場。新時代を予感させているのだ。そんなニューウェーブが巻き起こる中で、将来のスター候補として大いに期待される選手がいる。中田竜太(29)。プロ9年目、ボートレースでは、まだまだ若手の年齢だが、実力は圧倒的だ。どのコースからでも切れ味鋭いターンで一着を量産。そんな中田が2017年4月、大仕事をやってのける。それは最高峰の大会SGに次ぐ、ビッグタイトル・G1。その優勝決定の舞台に進出。この時、中田の相手はSG制覇12回の松井繁、同じく5回の田中信一郎など、錚々たるベテラン選手たち。そんな相手に堂々たる戦いを展開する。この優勝で中田は、次世代を担う男として一躍名を上げた。2017年の年間獲得賞金は5000万円を突破。端正なルックスに実力も兼ね備え、女性ファンの圧倒的な支持を誇る。しかし埼玉県にある自宅を訪ねると、中田のもう1つの素顔を垣間見ることが出来る。5年前に結婚したが、この日、妻は不在。話しかけているのは、まだ1歳11か月の息子・瑛仁くん。レースの無い日の中田は、育児に明け暮れるイクメンなのだ。実はこの日、妻はボートレーサーとして戦っていた。妻の亜理沙さん(29)。妻も屈指の実力を誇る女子ボートレーサー。愛称はクールビューティー。2人が出会ったのはボートレーサー養成所。同期生だった。互いの夢を語り合う中で惹かれ合い、プロデビューから半年後、交際に発展。ボートレーサーとして切磋琢磨しながら愛を育んだ。そして、2012年、24歳の時、共にボートレース界最高クラスのA1級に昇格したのを機に結婚。妻は結婚3年目に妊娠。無事出産を終え、改めて女子No.1を目指すべく2016年、レースに復帰した。同じ職業の共働き夫婦。しかし、それぞれが頂点を目指し戦うその姿は、一般的な共働き夫婦とはかなり違っている。ボートレーサーは、全国24箇所のボートレース場を転戦する、いわば出張だらけの職業。レースは主に6日間行われ、その間は各地の選手専用宿舎で生活する。夫婦は、年間それぞれ月におよそ20日、自宅に帰ることが出来ない。スケジュール帳を見せてもらうと、中田が三重県でレースをしている間に妻は山口県に出発。2人ともレースの間、息子は中田の両親に預かってもらう。中田が帰宅する時に今度は、妻がレースの真っ最中、1年中こんな入れ違い状態が続く。家族3人が自宅で過ごせるのは、ひと月に5日ほど。更にレース期間中は公正を保つため、レーサーは携帯電話を預け、外部との接触は禁じられる。つまり夫婦であっても、コミュニケーションを取る機会はほとんどなく、例え子どもが病気になっても連絡は取り合えない。困難を強いられる子育て。それだけに夫婦の協力は欠かせない。中田は料理が苦手。そのため妻が何品か作りおき、冷凍しておいてくれる。しかし、子育てに困惑することも少なくない。正直、妻にボートレーサーを辞めて欲しいと思うこともあるという。この日は中田がレースに出発。妻は既に別のレース場で戦っているため、まずは息子を預けに中田の両親の家に向かう。この時いつも息子の様子が目に見えて変化するという。後ろ髪を引かれながら中田は、戦いの舞台へ向かう。ボートレース界の頂点をつかみたい。レース場に入ると勝負に徹する中田。同世代の選手がSGを制覇し始めた。もう一歩も遅れるわけにはいかない。若手のホープから本物のスターへ。一日でも早くのし上がりたい。そしてSG優勝へ、試金石となる重要な大会に挑む。
2017年9月、中田はある重要な大会に挑んでいた。それは30歳未満の選手のトップを決めるプレミアG1ヤングダービー。この大会を制した選手の多くが、後にボートレース界の頂点に立った、いわば登竜門と言える大会。実績では申し分ない中田は、この大会で優勝し、名実共に若手No.1になるべく燃えていた。大会は6日間。予選を4日間戦い、成績上位者が準優勝戦、優勝戦へと勝ち上がる。予選は5位で通過した中田。いよいよここからが勝負だ。迎えた準優勝戦。中田の表情にいつにない緊張感が走る。中田は3コース。それはトップを目指すには大きな壁だった。ボートレースは、内側のコースが圧倒的に有利な競技。3コースは、1着を取るには不利なコースだ。果して中田どうするのか?運命のレースが始まった。4コースのボートに先手を取られたが、抜群のターンを見せ、見事先頭争いに躍り出た。次のコーナーでは単独トップに。そしてそのまま1着でゴールイン。優勝戦進出を決めた。続いて行われた優勝戦でも、中田は力を見せつけた。見事優勝を飾り、次世代のスターであることを証明した。そんな勲章を抱え自宅へ。この日は、妻と息子が待っている。家族3人が揃うのは8日ぶりだ。息子の成長を妻と分かち合うかけがえのない時間。中田が特に大事にしているのは、妻と息子の声を耳に刻むこと。声すら聞けない別々の時間が始まる前の家族にとって大切な時間だ。
中田には大舞台が待っている。今月行われる最高峰の大会SG・ボートレースダービー。夢にまでみたビッグタイトルだ。中田は今、初のSG制覇に向け燃えている。
妻と共に夢を追い続けるボートレーサー・中田竜太(29)。幼い我が子を育てながら新たな時代を切り開く革命児にこれからも注目したい。
[BACKNUMBER]
banner_AD
Loading…

SNS

TBSトップページサイトマップ Copyright© 1995-2019, Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved.