バックナンバー:バース・デイ

BACK NUMBER #588 2017.9.30 O.A.

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天才ゴルフ少女・須藤弥勒 世界一への挑戦
3歳の娘が父の前で見せたとんでもない才能。そして5歳となった今、父は己の人生をかけ、娘に世界一を取らせると決めた。自宅に練習場を作り、独自のトレーニングを課してきた。才能を引き伸ばすためには甘えや妥協は許されない。世界の頂点を目指す親子の熱い日々を追った。
群馬県太田市のゴルフ練習場で、大人顔負けのスイングを見せる1人の少女。彼女の名は須藤弥勒、わずか5歳。108cmの身長と、ほぼ変わらない長さのクラブを見事に振り抜く。ゴルフを始めたのは2歳の時。競技歴わずか3年で、ドライバーショットは120ヤードを誇るまでになった。それに加え、パッティングも抜群のタッチを見せる。わずか5歳にして、数々のタイトルを手にしてきた天才少女だ。そんな弥勒ちゃんを指導するのが、父・憲一さん(43)。その練習には、一切の甘えや妥協はない。時には厳しさゆえに娘が泣きだすこともあるが、心を鬼にして指導。娘もそんな父の厳しい指導に投げ出すことはない。父の娘への思い。それはミロクという一風変わった彼女の名前に込められている。仏教において悟りを得ようと修行する弥勒菩薩のように何事も努力を惜しまない人生を娘にも歩んで欲しい。そんな思いでミロクと名付けた。実は父・憲一さんは、28代続く新潟県の歴史あるお寺に生まれ東京大学に進学後も大学院まで仏教について研究した。その中で得た一つの確信。それは限られた人生を生きる人間にとって目標を持ち努力し続けることが、何より大切なのではないか?ということだった。そしてその考えは子どもの教育にも生かされている。どんな夢でもいい。目標を持った人生を歩んで欲しい。そして娘に才能を感じとれるものがあれば、徹底的に伸ばしてやりたい。それこそが父親の使命だと考えていた。そこでピアノやそろばん、アイススケートなど様々な習い事を娘に体験させ、その様子を3つのポイントから見極めた。そんな中、興味を示したのがゴルフだった。1歳の頃、おもちゃのクラブを与えたところ毎日のように打ち続けた。さらに楽しそうな様子も伝わってきた。そしてついに、疑いようのない才能を感じた瞬間が訪れた。それは40ヤード先にある三角コーンを狙い打つというもの。見事命中。この時父は、娘の才能を伸ばしてやるのは自分しかいないと心に決めたという。そこで娘に大きな目標を持ってもらおうと、幼い子どもでも出場できる大会を探し始めた。すると世界56か国、5歳から18歳までの選手が出場する世界ジュニア選手権を見つけた。かつて、あのタイガー・ウッズが8歳で優勝し、日本人も池田勇太・宮里美香などが活躍したこの大会に5歳になる娘を出場させ世界一を狙うと決めた。そんな2人の決断以上に母・みゆきさんが驚かされたのは、ゴルフと向き合う娘の姿だったという。世界一を目指す、家族一丸の戦いが始まった。父がまず行ったのはゴルフの猛勉強。憲一さんのゴルフ経験は、週末に友人と楽しむ程度。知識はゼロに等しかった。基本的なルールからトレーニング方法まで、専門書を読み込み、頭にたたき込む。さらになんと自宅の隣の土地を購入し練習場を作った。パッティングやアプローチ、更にはティーショットに至るまで、ほぼ全てがこなせる660坪の娘専用の練習場で、朝から夜までゴルフ漬けの日々を送った。その結果、2017年6月に行われた世界ジュニア選手権の予選会で、ただ一人5歳での出場ながら2位に31打差をつける圧勝で優勝。世界一への挑戦権を勝ち取った。そして迎えた世界大会。前例のない5歳での世界一へ、娘と父の壮絶な戦いが始まった。
世界大会開幕2週間前の2017年6月。朝7時、父の1日は練習場の手入れから始まる。芝刈機で芝の長さを一定にし、常にゴルフ場に近い状態に整える。雑草は、丁寧に手で刈り取る。こうした整備は毎朝欠かすことができない。手入れが終わると練習が始まる。まずは足に重さ2キロの重りをつけフィジカルトレーニング。体力を消耗しても、正確なショットが打ち続けられるか。少しでも集中力を欠くと容赦ない父の怒り声が飛ぶ。厳しい指導に娘が泣きだしても、練習は納得するまで終わらない。そんな弥勒ちゃんの楽しみは、練習の合間に母が入れてくれる1杯の牛乳。娘のカルシウム補給のために、冷蔵庫の中には、大好きな牛乳がぎっしり。絶対に欠かさないという。練習の締めくくりは、フォームのチェック。映像を見せながら理想のフォームを頭に認識させ、体にたたき込む。練習は多い日で1日10時間。しかし弥勒ちゃんは、ゴルフを辞めたいと思ったことは一度もないという。
2017年7月11日。アメリカ・サンディエゴで世界ジュニア選手権が開幕。大会はプロと同じ3日間18ホール。6歳以下は、全てパー3のショートコースで行われる。出場する選手は年齢別に別れ、弥勒ちゃんは総勢20名で戦う6歳以下の部門に出場。その中で弥勒ちゃんは唯一の5歳。50年の歴史を誇るこの大会で、5歳での優勝は一度もない。目指すは史上最年少優勝。両親と娘、親子3人での最後の調整が続いた。そして迎えた初日、いよいよ世界一への戦いが始まった。この日はティーショットが冴え渡った。13番パー3でピン側にピタリと着ける。そして、きっちりバーディを奪うなど、2位と5打差をつけトップスタートを切った。しかし2日目はショットが安定せずボギーが先行。スコアを1つ落とし順位もトップと1打差の2位に。迎えた最終日、優勝するにはこれ以上スコアは落とせない。弥勒ちゃんに緊張感が漂う。そんな中この日はパッティングの距離感が抜群だった。2番、7mのパーディパットを見事に決めると、さらに4番でもバーディを奪いトップに食らいつく。そして体力的にきつくなる後半14番でついに逆転。さらに17番では、ピンまで5mにつけた。この時点で2位とは2打差。このバーディーパットを決めれば、ほぼ優勝が決まる。固唾を飲んで見守る父。きっちり沈めると2位に5打差。弥勒ちゃんは史上最年少5歳での優勝を果たした。
遙か未来に現れ人々を救う。そんな仏様の名を持つ少女・須藤弥勒。父が見つけたゴルフの才能と娘の努力で大輪の花を咲かせる瞬間を今から楽しみにしている。
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