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BACK NUMBER #585 2017.9.9 O.A.

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サッカー日本代表・浅野拓磨 若きストライカーの素顔
ワールドカップへの道を切り開いたのは22歳のこの男だった。日本代表FW・浅野拓磨。歓喜に沸いたあの激闘の翌日、浅野は我々の取材に応じてくれた。溢れ出したのは応援してくれる家族への思い。実は浅野は7人兄弟。父と母を合わせ、9人の大家族が彼を支えている。その里帰りに独占密着。一躍ワールドカップのエース候補になった若きヒーローの素顔に迫った。
2017年8月31日のワールドカップアジア最終予選、オーストラリア戦。日本に6大会連続の切符をもたらしたのは本田でもなく、岡崎でもなく浅野だった。これまで代表ではわずか2得点。浅野の先制ゴールに日本中が湧いた。浅野は現在ドイツ・ブンデスリーガ・シュトゥットガルトに所属。2016年のリオ五輪でもゴールを決め、世界の舞台で着実に成長している若きストライカーだ。そんな浅野を我々は1年前から密着取材していた。2016年12月、浅野が毎年オフに欠かさない、三重県菰野町の実家への里帰りに同行した。現在独身の浅野は2週間の休みを家族と過ごそうとドイツから帰ってきた。出迎えてくれたのは、51歳の母・都姉子さんと17歳年下の妹・心春ちゃん。リビングには51歳の父・智之さんと当時中学3年生の弟・快斗くん。浅野は7人兄弟の3男。上から6人は男が続き、1番上の長男と1番下の妹は21歳も年が離れている。父は長距離トラックの運転手として一家の家計を支え、母は専業主婦として7人の子どもを育ててきた。進学、就職などで3人が家を離れ、現在は両親と4人の子どもがこの家で暮らしている。浅野の1年ぶりの帰宅を喜んでいたのは、4歳の妹・心春ちゃん。心春ちゃんにとってプロサッカー選手の兄は何よりも自慢。それは父も同じ。家族と囲む久しぶりの食卓。次男と5男も帰宅し、総勢7人に。母が用意してくれた料理はみるみるうちになくなっていった。山盛りのご飯は子ども頃から変わらない。3つ年上の長男が小学校に入りサッカーを始めて以来、浅野家はサッカー一色になった。兄弟遊びは常にサッカー。食事が終わると部屋の中でボールの奪い合いが始まる。この環境が何よりも刺激だったと浅野は言う。そんな兄弟の関係性は今も変わらない。4歳年下の5男との腕相撲でも手を抜かない。それだけではない。プロになった今でも兄弟とするサッカーが楽しみだという。この日やってきたのは近所にある公園。相手は5男の史也くんと6男・快斗くん。拾ってきた木の枝がゴールの印。浅野にとって家族の存在は今も昔も変わらず大切なもの。10歳の時の文集で宝物の欄に書いたのは「家族」。特に兄弟7人を育ててくれた母への感謝の思いは強い。浅野は実家に帰れば、家事を率先して手伝う。それは子どもの頃から変わらないという。男兄弟全員がサッカーチームに所属していた浅野家にとって、金銭面の負担は大きな問題。遠征費や成長するたび買い替えるスパイクなど出費はかさむ一方だった。浅野が中学生になり、兄弟6人が同時に学校に通うようになると苦しい家計の状況はピークを迎えた。母がパートや内職を掛け持ちすることでやりくりしていた。そんな中、浅野家を揺るがすことが。高校進学を控えた浅野に地元の強豪校、四日市中央工業からオファーが届いたのだ。そこは公立校だが、強豪校のため全国大会などの遠征費を始め、部費は通常の3倍近くかかってしまう。浅野の2人の兄はお金のかかる強豪校には進学していない。そんな中、自分だけが強豪校に進んでもいいものか浅野は悩み抜いた。それでもサッカー部の顧問が浅野の可能性を信じ、浅野と両親を何度も説得。次第に浅野はこんな思いを抱くようになった。
『家族のために絶対にプロになる』
そんな強い決意で四日市中央工業に進んだ浅野は1年生から活躍。2年生の時には、全国大会で1回戦から決勝まで全試合でゴールを決め、準優勝に貢献。得点王となり大会優秀選手に選ばれた。そして高校卒業後の18歳、Jリーグ・サンフレッチェ広島からオファーを受け入団。年俸は480万円。3年前の約束を果たした浅野は、入団会見に家族を呼び、プロでの活躍を誓った。その言葉通り、50m、5秒9の俊足を武器にJリーグで活躍。プロ3年目には8ゴールをあげ新人王を獲得。さらにU-23の日本代表にも選ばれリオ五輪最終予選に出場。韓国戦では決勝ゴールを決め、一躍その名を轟かせた。そして20歳の若さでA代表に初招集。次世代のエース候補となった。そんな浅野の活躍は支えてきた家族にとっても希望になっていた。Jリーグの試合があると三重から車を出し何度も応援を行った。自宅でもユニフォームを着て応援。試合が終われば、浅野から必ず家族にテレビ電話かかってくる。そしてプロ4年目を迎えた2016年7月。アーセナルのオファーを受け入団。契約の都合で現在はドイツ・シュトゥットガルトに移籍し、活躍している。2017年の年俸はプロ入り直後の10倍以上。支えてくれた家族のためにがむしゃらに戦い続け、掴み取った評価だ。
そして2017年8月31日のあの大舞台。勝てばワールドカップ出場が決まる一戦で浅野はスタメンに抜擢。仕事で来られない家族を代表し、会場には母・都姉子さんと妹・心春ちゃんが駆け付けた。その目の前で前半41分。長友のクロスを抜群の飛び出しで、左足で合わせ先制ゴール。それは日本を6大会連続のワールドカップへと導く価値あるゴールとなった。
大家族に支えられ、たくましく成長を遂げた新生代ストライカー・浅野拓磨(22)。来年のワールドカップで輝く姿を期待している。
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