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BACK NUMBER #578 2017.7.8 O.A.

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史上最高の逸材と言われる石川祐希の海外武者修行へ密着
【史上最高の逸材と言われる石川祐希の海外武者修行へ密着】
日本男子バレーの復活を託された男、石川祐希(21)。人気と実力を併せ持つ、日本男子バレー史上最高の逸材と評される石川。そんな彼をどん底に突き落とした最大の屈辱。全てを変えようと、世界最高峰のプロリーグ、イタリア・セリエAに挑戦。しかし待っていたのは数々の試練だった。日本バレーの未来を背負って立つ21歳の海外武者修行に密着した。
石川のバレー人生は常に栄光と共にあった。愛知の名門・星城高校のエースとして、なんと公式戦99連勝。1年生の冬から一度も負けることなく、2年連続高校3冠という快挙を達成する。2014年のアジア大会では、中央大学1年、史上最年少18歳で全日本入り。更に2015年のワールドカップでは、怒濤の活躍を見せ、全日本は格上の強豪国を次々撃破。石川は、得点ランキング世界6位という輝かしい実績を打ち立てた。さらに、爽やかなルックスに女性ファンが殺到。これまで脚光を浴びることのなかった大学のリーグ戦にまで、石川目当ての長蛇の列が出来た。日本のエースへ。その階段を順調に駆け上がっていくに連れ、こんな自覚が芽生え始めていた。
「低迷する日本の男子バレーを自分が変える」
しかし、そんな自信を砕かれる出来事が。2016年、リオ五輪出場をかけた世界最終予選。北京以来の2大会振りの五輪へ、日本中が期待していた。しかし石川は、徹底的にサーブで狙われた。今、一番波に乗っている石川を潰せば、日本の勢いは消える。そう考えた相手チームが、執拗な「石川狙い」に出た。サーブレシーブが苦手な訳ではない。しかし狙われ続けるプレッシャーから、ミスを連発。これが攻撃にも影響。得意のスパイクもブロックにつかまってしまう。石川の得点力は大幅にダウン。2015年のワールドカップで世界6位だった得点ランキングはこの大会では14位にまで落ちた。頼みの石川を封じられた全日本は、8チーム中7位に沈み、五輪出場はならなかった。栄光の道を歩んできた石川の初めて味わう屈辱だった。どんな舞台でも動じない強い精神力を身につけなければ世界とは戦えない。そのために何をすべきか?そう考えていた石川の下に、願ってもないオファーが。それは世界最高峰のプロリーグ、イタリア・セリエAのチームからの入団要請だった。当時大学3年生の石川は、関係者と協議を重ね、バレー留学という形でイタリア・セリエAのチーム・ラティーナへの期限付き移籍が決定した。石川が入団するラティーナは、リオで銀メダルを取ったイタリア代表の選手も在籍するチーム。日本では、押しも押されもせぬエースだが、石川にレギュラーの確約など一切ない。格段にレベルの高いこのチームで、実力でレギュラーを勝ち取り、試合に出なければ、わざわざ日本から来た意味などない。特に意識して取り組んだのは、サーブレシーブの練習。専用のマシンを高さ4mに設置。トップクラスの選手が放つジャンプサーブを想定し、レシーブ練習を続けた。どんなに標的にされようと絶対に崩れない。そんな心の強さを手に入れるため、ひたむきに課題に取り組む石川に監督も期待を寄せていた。そして2017年2月、石川はリーグ戦に先発で起用された。対戦相手は世界No.1アタッカー、イタリア代表のエース・ザイツェフを擁するペルージャ。2mクラスが、ずらりと並ぶ格上のチームだ。石川はブロックのわずかな隙をとらえ、鋭くスパイクをたたき込む。更にその後もブロックを冷静に見極め、得点を重ねた。試合は3-1と敗れたが、存在感を十分に見せた石川に世界No.1アタッカー・ザイツェフも賞賛した。しかしこの次の試合、石川に思いも寄らぬことが告げられた。試合の直前、守備専門のリベロの選手がケガをしてしまい、その代役として石川が急遽指名されたのだ。サーブレシーブの練習を重ね、守備力が上がっていたのを監督が評価しての起用だった。しかし、いざ試合となるとバレー人生初のポジションでミスを連発。失点を重ねた。それはあのリオ五輪世界最終予選での屈辱を思い起こさせる試合となった。数日後、石川の住まいを訪ねると、膝に痛々しい傷痕が。実はリベロで起用された試合でボールを追いかけた際、フェンスに激突し左ひざを強打。その傷痕が真っ赤に腫れ上がっていたのだ。だがこの起用を石川は、自分を変えるチャンスだと前向きにとらえていた。そして迎えたリーグ最終戦。この日も石川はリベロで起用された。鋭いジャンプサーブにも的確に対応。その後も、精度の高いサーブレシーブを見せ、課題を克服しつつあることを垣間見せた。失敗や成功を繰り返し、与えられたポジションで必死にプレーを続けた石川。こうした姿勢と貢献度をチームも高く評価。石川は今シーズンも同じチームでプレーを続けることが決まった。そして2017年6月。全日本に合流した石川はワールドリーグに出場。強豪国が顔を揃える大会で石川が魅せた。的確なサーブレシーブから素早く助走に移り、強烈なスパイクを決めた。そして、レシーブで崩されることなく、日本得意のコンビバレーを支え続けた。迎えた準決勝の相手は、平均身長が10cm以上も高いオーストラリア。しかし石川は、ブロックをものともせずスパイクを決め続け全日本のマッチポイント。最後も強烈なスパイクを決めオーストラリアを撃破。この試合、石川はチーム最多23得点を叩き出し、全日本を準優勝へと導いた。
厳しい攻撃に晒されるエースの宿命。しかし、それを跳ね返すのは自分しかない。日本のメダルを託された石川祐希の更なる進化を期待したい
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