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BACK NUMBER #570 2017.5.13 O.A.

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伊達公子 46歳 現役続行を懸け挑んだ戦いの舞台裏
サッカー・三浦知良(50)、スキージャンプ・葛西紀明(44)。今なお第一線で戦い続け、「レジェンド」と呼ばれる選手たち。彼女もその1人。女子テニスプレーヤー・伊達公子(46)。現在ツアー最年長を誇る伊達は、これまで数々の記録を塗り替えてきた。しかし2016年、伊達はテニス人生最大のピンチに陥った。45歳で出場した全豪オープンの予選でのこと。あるプレーが引き金となりテニスどころか日常生活がままならないほどの大怪我を負った。わずか1年で2度にわたる手術。待っていたのは地道なリハビリの日々…。その舞台裏をカメラはとらえ続けていた。なぜそこまでして現役にこだわるのか?そこには伊達のテニスへの熱い思いがあった。
伊達公子。その名が世界に轟いたのは今から22年前の1995年。球が上がりきる前に打ち返す「ライジングショット」を武器に、25歳で日本最高の世界ランク4位にまで上り詰めると、翌年4月のフェドカップでは、当時の絶対的女王・グラフと対戦。3時間以上にも及ぶ死闘の末、日本人で初めて世界ランク1位を破る快挙を成し遂げた。世界一も狙える絶頂期を迎えていた伊達だったが、その年、突然の引退発表。テニス人生で最も輝いている時に引退することは、彼女が貫いた美学だった。その後、伊達は解説や子どもたちにテニス指導などをして過ごしていた。そんな伊達に転機が訪れたのは2008年3月。かつて、ともに凌ぎを削ったあのグラフとのエキシビジョンマッチ。詰め掛けた多くのファンの前で11年ぶりにプレーをした。ここで伊達は、1度コートを離れたからこそ蘇ったある思いに気づく。
『やっぱり私はテニスが好きだったんだと気づくのに11年もかかってしまいました』
テニスは自分を成長させてくれる唯一無二の存在。そしてエキシビジョンマッチから1か月後の2008年4月。伊達は37歳で再びコートに戻ることを決めた。年齢的にも残された時間は限られている。1日1日が勝負だ。
2010年9月の東レ・パンパシフィックオープンテニス。39歳の伊達はブランクを感じさせない活躍を見せる。17歳年下の元ウィンブルドン女王・シャラポワ(当時23歳)に勝利。さらにその後も42歳でウィンブルドン大会史上初最年長となる3回戦に進出。センターコートに立つ活躍を見せた。40代になってもテニスへの情熱は衰えるどころか日に日に増していった。しかし2016年1月、45歳で迎えた全豪オープンの予選、伊達の左足が悲鳴をあげた。診断の結果、左膝半月板と関節軟骨の損傷。膝を曲げ伸ばしする際、衝撃を吸収する半月板が断裂、その上、軟骨が磨耗していた。テニス人生初の大怪我。伊達は緊急帰国。現役を続けるには手術するしか選択肢はなかった。17年にも及ぶプロ生活の中で、1度も体にメスを入れた事のない伊達。手術しても治る保証は無い。もう45歳…。体にメスを入れてまで現役を続けるか?それとも引退か?伊達は迷っていた。左膝の怪我から1か月が経った2016年2月。伊達は覚悟を決めた。怪我をした左膝にメスを入れる。断裂した半月板を縫い合わせ、さらに削れた軟骨部分を取り除く。しかし、予想以上に左膝の軟骨の磨耗が激しく、この日はクリーニングを行っただけで、半月板の縫合手術は見送られた。そして2か月後、再び手術を受けることになった。手術は無事成功。まだ左膝に負荷をかける事が出来ないため、約1か月、車イス生活が続く。テニスの感覚を失いたくない。松葉杖をつきながらボールを打った。怪我をして半年以上も左足を動かす事が出来なかった伊達には、リハビリのわずかな動きでさえ体に重く圧し掛かる。事実、メスを入れた左足は、筋肉が削げ落ち、右足に比べ一回り以上細くなっていた。それでも、もう1度コートに立つために、半年以上も地道なトレーニング積み重ねた。
2017年1月、実戦に向けた本格的な練習を始めた。左膝は7割ほどまで回復していた。怪我をして1年、試合から遠ざかっていた伊達は、積み重ねてきた感覚を呼び起こそうと、ひたすら追い込む。過酷なトレーニングは2時間以上にも及んだ。しかし、伊達が練習で感じていたのは苦しさだけではなかった。そして手術から1年が過ぎた2017年5月3日。遂に復帰戦の日がやってきた。岐阜県で行われ国際大会・カンガルーカップ。伊達を待っていたファン2800人がスタンドを埋め尽くした。約1年4か月ぶりの試合にいよいよ伊達が挑む。対戦相手は伊達の半分の年齢の23歳。伊達公子、46歳の新たなる戦いが始まった。全力でコートを駆け抜けた伊達。残念ながら復帰戦を勝利で飾ることはできなかったが、その表情は明るかった。そして2017年5月7日、伊達は韓国での試合で復帰後初勝利を収めた。
初めて経験した手術を乗り越え、46歳の今も尚、現役として戦いを続ける伊達公子。彼女のテニスへの愛がどんな新たな伝説を綴るのか見届けたい。
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