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BACK NUMBER #564 2017.4.1 O.A.

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小結・御嶽海 次世代を担う若き力士の戦い
稀勢の里の活躍で湧き上がる相撲ブームの中、将来の横綱を期待されるホープ。小結・御嶽海(24)。その魅力は押し相撲。わずか2年で小結に昇進。そして強気な発言を連発。自信に満ちた強靭なメンタル。角界の次世代を必ずや担う若き力士の戦いを追った。
歴史に残る1日となった3月場所千秋楽。新横綱・稀勢の里の逆転優勝で、ますます盛り上がりを見せる大相撲。そして今、相撲ブームが再来する中、稀勢の里に続く、日本人の新勢力が続々と台頭している。27歳の関脇・?安。25歳の小結・正代。前頭にも遠藤、北勝富士、宇良と個性豊かな若手が虎視眈々と上位を狙う。その中で一際、異彩を放つのが小結の御嶽海(24)。立ち合いの瞬間から、とにかく前へ。強烈なパワーで押し込む。相手のまわしを取らず、強気に攻めまくり、勝ち星をもぎ取る。かつて大関・千代大海、武双山、そして横綱・北勝海が得意としていたのが、この押し相撲。しかし現在、番付上位は、まわしを取る四つ相撲が得意な力士が占め、ひたすら押しまくるスタイルの御嶽海は稀な存在だ。その御嶽海が、一躍脚光を浴びたのは2017年1月場所。横綱・鶴竜との取り組みだった。会心の押し相撲で見事金星。この場所では、横綱の日馬富士も倒し、1つの場所で2つの金星をあげ、御嶽海の名は日本中に轟いた。相撲スタイルそのままに、自信に満ちた強気の発言も多い。独特のキャラクターを持つ24歳の御嶽海。所属するのは出羽海部屋。これまで1つの相撲部屋で歴代1位となる9人の横綱を輩出した名門。現在17人の力士が在籍し、その中で御嶽海は、番付最上位の部屋頭。この若さで、他の力士を引っ張る立場にいる。その姿には風格すら漂う。そんな御嶽海が自分の部屋を見せてくれた。枕元には、励みにしている地元・長野県のファンからもらった地元紙の切り抜き。長野県からは、近年強い力士が生まれていない。平成になって、十両以上の関取がいない唯一の県だった。御嶽海は実に47年ぶりに誕生した長野県出身の関取。県民の期待は絶大だ。両親も夢を膨らませている。地元・長野で建設業をする68歳の父・春男さん。47歳の母・マルガリータさんはフィリピン出身。御嶽海が相撲を始めたのは小学校1年生の時。当時から体格が良く、相撲をやりたいと自ら進んで地元の相撲クラブに通った。そこで教えられたのが押し相撲だった。彼はその押し相撲でメキメキと力をつけ、地元では負け知らずになった。弛まぬ鍛錬で押し相撲に磨きをかけ、中学・高校と全国大会の常連になった。そして大学相撲の名門・東洋大学に進むと、1年生で全国3位に。大相撲からも注目され、この頃から自身もプロの世界を意識するようになったという。ところが、2年、3年と2年連続全国大会で早々と敗退。そして御嶽海はこんな思いにかられる。
「自分はプロの世界で通用するのか?」
そんな思いを抱き4年生になった御嶽海は、就活活動もし、和歌山県庁への内定までもらっていた。御嶽海は気持ちに踏ん切りを付けるべく、あることを決断する。
「学生横綱になったら大相撲入りする」
自らの人生を大学日本一を争う最後の大会にかけた。しかし、その前に立ちはだかったのは、優勝候補、2年前の学生横綱。御嶽海は持ち味である押し相撲で見事優勝。この優勝がなければ、将来の横綱候補は角界入りしていなかったという。こうしてプロの世界に自信を持って足を踏み入れた。すると、プロ入りをためらっていたのが信じられないほどの破竹の快進撃を見せつける。なんと、わずか2場所で関取である十両に昇進。これは、遠藤、逸ノ城と並ぶ最速記録。突如、彗星の如く現れた、地元の星に長野県民は沸き返った。御嶽海が帰郷すると、一目その姿を見ようと5000人以上もの人々が駆けつけ、大フィーバーに。快進撃は止まらず、入門から所要4場所で新入幕。初めて、髷を結うというだけで、報道陣が押しかけた。もはや、その注目度は全国区になっていた。そして2017年1月場所では、11勝4敗という好成績で技能賞を獲得。御嶽海は、将来の横綱候補として、長野県民の星であり、相撲ブームを支える主役の1人となった。
2017年2月、3月場所を控え、御嶽海は稽古に励んでいた。次に狙うは関脇。そのためには、より多く白星を重ねなければならない。持ち味の押し相撲にさらに磨きをかけようと、立合いの踏み込みを重点的に鍛えた。からだのケアも怠らない。特に気を配っているのが足。あのパワフルな押し相撲の源だ。そして迎えた3月場所。相手は初日から強敵だった。横綱・鶴竜。得意の押し相撲で、土俵際まで追い込んだものの敗戦。黒星スタートとなってしまった。その後3勝3敗。五分で迎えた7日目は、大一番、新横綱・稀勢の里との取り組みだった。ここまでの稀勢の里との対戦は3戦全敗。金星をあげ、勢いに乗りたい御嶽海。鋭い立合いから、一端は土俵際まで追い込んだ。しかし、稀勢の里にまわしを取られ、その後はなすすべなく敗れた。その後も自分の相撲を貫き、戦い続けた御嶽海。そして2場所連続での勝ち越しを決め、9勝6敗で3月場所を終えた。
押して、押して、押しまくる。そんな、どこまでも前向きな魂で頂点を目指す24歳の御嶽海。相撲ブーム再来の中、現れた個性溢れる男から目が離せない。
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