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BACK NUMBER #562 2017.3.18 O.A.

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元プロ野球選手第2の人生 加藤健/青松慶侑
2016年まで現役のプロ野球選手として輝いていた男たち。しかし、戦力外通告を受け、華々しい世界から一転、人生の岐路に立たされた。巨人一筋18年、35歳のベテランキャッチャーは、球団からの誘いを断り、新たな道を自ら選んだ。そして、千葉ロッテマリーンズ、将来の4番と期待された男は、野球と決別し、華麗なる転身を遂げていた。引退からわずか3か月、動きはじめた彼らの第2の人生を追った。
<元読売ジャイアンツ・加藤健(35)>
今から19年前、1998年夏の甲子園。主役となったのは、平成の怪物と呼ばれた横浜高校のエース・松坂大輔だった。加藤はその大会に、新潟・新発田農業のキャプテンとして出場。初戦は敗れたものの、強肩強打のキャッチャーとしてプロのスカウトの視線を集めた。そして、ドラフト会議で上原浩治、二岡智宏に次ぐ3位指名で巨人に入団。しかしそのわずか2年後、加藤の前に巨大な壁が立ちはだかる。2歳年上の阿部慎之助が入団。阿部はルーキーイヤーから開幕スタメンを勝ち取ると、その後15年もの間、巨人の正捕手として君臨。加藤は限られた出番で必死のアピールを続けた。そしてチームに欠かせない、控え捕手としての地位を確立。そんな加藤を当時の指揮官・原は高く評価していた。現役生活18年間で30試合以上出場したのは、わずか1年のみ。それでも、いつ来るかわからない出番のために加藤は準備し続けた。しかし35歳を迎えた2016年、出場機会はわずか2試合にまで激減。生え抜きの功労者である加藤に巨人は、球団スタッフへの転身を打診したが、加藤は断った。現役を続けたい。加藤は僅かな望みをかけ、12球団合同トライアウトに挑みアピールした。しかしオファーはなく2016年12月に現役を引退。それから2か月後、加藤は地元・新潟市内の会社で、2月から社員として働いている。従業員は加藤を含め8名。小さな会社だが、地元出身の元プロ野球選手である加藤への期待は大きい。加藤が就職した新たな職場。それは、新潟の独立リーグ球団、新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ。現役選手としてではなく球団を経営する側の一員になった。加藤の任された役職は、球団経営の根本に関わる重要なものだ。夜10時、現在、家族を東京に残し単身赴任の加藤は、勤務時間を終えても会議資料に目を通す。選手時代、思いもしなかった球団経営の厳しさを日々痛感しているという。2017年2月11日、この日行われた独立リーグの合同トライアウトには、監督やコーチを務める元プロ野球選手たちの姿があった。加藤の夢は、スター選手を一人でも育て、野球界を盛り上げることだ。
<元千葉ロッテマリーンズ・青松慶侑(30)>
2004年、大阪・上宮太子高校から、ドラフト7位でキャッチャーとして千葉ロッテマリーンズに入団した。最大の魅力は力強いバッティング。将来の4番候補として期待された。しかし入団から7年、2軍生活が続き、またキャッチャーというポジションの負担からか、本来の打撃が影を潜め、思うようなプロ生活を送れなかった。そんな時出会ったのが4つ年上のあやのさん。当時彼女は、鷲巣あやのという名前で、雑誌やテレビで活躍するタレントだった。共通の知人の紹介で出会った2人は急接近。プロ9年目を迎えた2013年、1年の交際を経て結婚した。あやのさんはタレント活動を減らし、野菜コーディネーターの資格を取るなど、夫のサポートに専念。するとその年、青松は1軍に昇格した。そして、本来のバッティングがようやく開花。しかし、一発長打の魅力の一方で粗さも目立ち、その活躍は長くは続かなかった。そして2016年10月戦力外通告。現役続行をかけた、12球団合同トライアウトでは、鋭い打球を飛ばし、5打数2安打と結果を残したが、青松のもとに思うような現実は訪れなかった。小学生の頃から野球一筋、高校卒業後すぐにプロの世界に飛び込んだ青松は、30歳で初めて野球を離れざるを得なくなった状況に不安を感じていた。そんな追い詰められた心を救ってくれたのは、かつて同じ球団で戦った先輩たち。すぐ先の未来も見えない青松を心配し、何人もの先輩が連絡をくれた。特に8年前に戦力外通告を受けた新里賢は、同じ苦しみを味わう青松に親身になってくれたという。そして、きっぱりと引退を決めた青松が選んだ第2の人生とは?
青松の現在の勤め先は、千葉県柏市。自宅から電車で通勤している。会社は大手の生命保険会社。2017年1月から販売、さらには人生設計の相談を行う、ライフプランナーとして働いている。実は辛い時期、親身になってよく連絡をくれた先輩・新里も同じ会社の社員。新里の仕事に興味を持った青松は6度の面接を突破し見事採用。1月から正社員として勤務している。覚えることは多いが、資格を取得し、わずか2か月で営業を1人で任されるようになった。そんな青松には夢がある。実はこの会社には、先輩・新里だけでなく、元プロ野球選手が数名務めている。彼らと共に、戦力外になって苦しんだ自分たちの二の舞にならないよう、ライフプランナーとして現役選手のセカンドキャリアを支える活動を本格的に始めようとしている。
プロ野球選手として光を放てる時間は長くはない。突然終わりを告げる、その瞬間から、それぞれの本当の生き様が問われる。
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