バックナンバー:バース・デイ

BACK NUMBER #543 2016.10.22 O.A.

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筋肉に魅了される女子ボディビルダー 日本一を懸けた戦い
鍛え抜かれた鋼のからだ。この肉体の持ち主は51歳のボディビルダー。50歳になるまではごく普通の主婦だった。彼女をわずか1年でトップビルダーへと鍛え上げたのは夫と息子。筋肉に魅せられた一家の日本一を懸けた戦い。その日本一の座を52歳の独身キャリアウーマンも虎視眈々と狙っていた。絶対に負けたくない。過去3度の準優勝を誇る女の意地。筋肉に懸ける50代女性たちの決戦を追った。
<宮田みゆき(51)>
横浜市保土ヶ谷区。宮田は、不動産業を営む4歳年上の夫・勝実さんと80歳になる夫の母・房子さんと3人で生活を送っている。3年前、社会人となった息子が独立。そのため家事はだいぶ楽になったが、主婦業と仕事を掛け持ちしているため、その1日は慌ただしい。1日のトレーニングは自宅にある本格的なトレーニング器具を使って始める。しかも、まだ暑い9月に室温を30度に設定、サウナスーツを着込む。少し動いただけで全身から汗が吹き出す。この状態で30分、体の水分を絞り出し、脂肪を徹底的に燃焼させるのだという。元々、体重は55キロ前後だったが、ボディビルを始めて1年で筋肉をつけながら5kgも落としたという。自宅トレーニングを終え、向かったのは仕事場。宮田の職業は、エアロビクスのインストラクター。学生時代に憧れ、この仕事を選んだ。仕事が終わるとジムで本格的なボディビルのトレーニング。そこに欠かせない人物こそ4歳年上の夫・勝実さん。勝実さんは不動産業の傍ら、妻のトレーニングをサポートしている。元々からだを鍛えることが好きで、20代から30年以上ジムに通い続けていた勝実さんは、3年前、ボディビルを始めた息子に対抗心を燃やし、自らもボディビルにのめり込んだ。そして、夫と息子が熱中する姿に感化され、宮田も去年、50歳という節目で一念発起。夫の指導のもと、毎日3時間、限界まで筋肉をいじめ抜いている。トレーニングを終え帰宅すると息子の智也さんが帰省していた。智也さんは、母にボディビルの素質を感じていたという。智也さんは、東京都の地区大会で優勝経験があり、父・勝実さんも年齢別の大会でチャンピオンに輝いている。宮田にとってサポートしてくれる家族がいることは何よりも心強かった。そしてもう1人、姑の房子さんも応援してくれている。今ではすっかりボディビルに詳しくなった。そんな家族は、宮田のからだのわずかな変化も見逃さない。この環境で、宮田の全身の筋肉は驚異的な変化をみせていた。ボディビルを始めて半年で、東京都の大会で初出場・初優勝の快挙を達成。さらに1年が経った今年(2016年)、全日本のクラス別選手権でも優勝。最高峰の舞台、日本選手権の切符を一気に獲得した。
<清水恵理子(52)>
40歳でボディビルを始めて今年で12年目。2012年から日本選手権3大会連続、準優勝という実績を持つ。清水は、薬科大学で薬学を学び、卒業後、薬剤師の資格を取得。そして、業界最大手の医薬品・総合卸売業社に入社した。女子ボディビル界では珍しいキャリアウーマンだ。昼の休憩時間になると会社の外でポージング練習。本格的な練習は、仕事を終えた夜7時からスタート。1日およそ3時間、週6日行う徹底ぶり。仕事とボディビルを両立する生活を続けてすでに12年。実は清水は、37歳のとき離婚を経験。子どもはおらず生活は独身時代に戻った。スキーやマラソン、エアロビなどをやっていたが、もっと夢中になれるものはないか探していた。そんな時、友人に勧められたのがボディビルだった。40歳で新たな生きがいと出会い、メキメキと力をつけた清水は48歳の時、日本選手権で準優勝。以来、悲願の優勝を目指し52歳になった今も日々研究を重ね、トレーニングに励んでいる。

10月2日。女子ボディビルダーの日本一を決める日本選手権が大阪で開催された。全国各地から集結した35名の選手たち。その中には、悲願の初優勝を狙う清水恵理子。そして、競技歴1年で、日本最高峰の舞台に辿りついた宮田みゆきの姿もあった。宮田の家族も客席に駆け付けた。そして大会が始まった。まず、決められた4つのポーズを見せ、7人の審査員によるジャッジ。ここで35名が早くも12名に絞られる。審査のポイントは「筋肉の厚さ」「溝の深さ」「全体のバランス」など。ほんのわずかな差をチェックされる。日本のトップビルダーたちが、鍛え上げた肉体美を見せつける。競技歴1年の宮田も負けずにアピール。家族の応援にも力がこもる。そして宮田は見事、予選を通過。客席の家族にメールで報告した。一方、悲願の初優勝を狙う清水も順当に予選を突破。そして、運命の決勝ラウンド。残った12名が横一線に並び、規定のポーズで比較される。宮田は筋肉の溝の深さを猛アピール。一方清水は、全体のバランスで勝負する。日本のトップビルダー12名が、最後の力を振り絞り、全ての審査が終わった。ここから順位の発表。順位の下の選手から番号と名前が呼ばれる。悲願の優勝を狙っていた清水はまさかの8位。一方、宮田は入賞ラインに残っていた。そして、競技歴わずか1年で、堂々の6位入賞の快挙。優勝は、56歳の山野内里子が大会4連覇を果たした。そして宮田は応援してくれた家族の元へ行き、喜びを分かち合った。
究極の肉体美を競う女子ボディビル。50歳を過ぎてなお、様々な人生を筋肉に刻む彼女たちに心からエールを贈りたい。
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