バックナンバー:バース・デイ

BACK NUMBER #538 2016.9.17 O.A.

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スーパー中学生 柔道・斉藤立(たつる)
とある寿司屋で寿司を一心不乱に食べる大柄な男。斉藤立(14)。穴子の寿司2貫を一気に口の中へ。この日食べたのは、全部で50皿、寿司100貫に及んだ。身長186センチ、体重147キロ。全てが規格外の中学3年生だ。彼の父は2015年に他界した、柔道の五輪・金メダリスト、斉藤仁。父の生前から親子で目指してきた日本一。その大切な存在を失った少年が一人で歩み始めた柔道人生。天国の父が『俺がいなくても勝てるか?』そう思っているんじゃないか…。父にその心配をさせたくないと日々父と同じ柔道の道を歩む。
父はかつて五輪で2大会連続、金メダルを獲得。立は将来を期待されている柔道界のサラブレットなのだ。現在14歳ながら、すでに父の体格を上回っている。立がすごいのは体の大きさだけではない。体の柔らかさも兼ね備えた、まさに規格外の中学生だ。父、仁が41歳の時に生まれ、溺愛されて育った立。父の勧めで小学校1年生から柔道を始めた。そんな立に父は厳しく指導にあたった。それは道場だけにとどまらず、道端で人目もはばからず声を荒げることもあった。そんな父の熱心な指導の下、11歳で小学生日本一に輝いた。師匠である父は立にとって無くてはならない存在だった。しかし2015年、胆管ガンにより54歳の若さで父は他界。13歳の立は父の死を現実として実感できずにいた。しかし14歳になった立は柔道への新たな覚悟が芽生えていた。
大阪・上宮中学の3年生となった斉藤立は、この夏、重要な大会に挑もうとしていた。それは生前、父、仁に約束していた中学生日本一。立が全国大会に向け、特に強化を図ったのは腕の筋力。中学生としては抜きん出た体格の立に、腕力も備われば、相手を容易に投げる事が可能になる。自分を追い込み、14歳はたくましく成長した。そして2016年8月20日。新潟県で行われた日本一を決める全国中学校柔道大会。立が挑むのは、最も重い90キロ超級。各都道府県代表1人と開催地枠1人の48名によって、優勝が争われる。会場には、大阪から母の三恵子さんが駆けつけていた。その傍らには父・仁の写真も。迎えた初戦。相手は石川県代表の大橋選手。身長で13センチ、体重で53キロ上回る立。その体格差にものを言わせ、開始わずか17秒で一本勝ちを収めた。立の柔道の特徴は、相手の奥襟を掴むと自慢の腕力で、最後まで離さず技に持っていけること。その戦術で3回戦、準々決勝、準決勝と全国の強豪を相手にすべて1本勝ち。中学生日本一まであと1勝。最後の相手となるのは福岡県代表、福永夏生。身長177センチ、体重98キロと体格では立が有利だが、九州大会のチャンピオンという実績を持ち、切れ味鋭い“払い腰”を武器にここまで全て一本勝ち。迎えた決勝戦。相手の両襟をつかんだ立。強引に技を仕掛けるものの不発。福永の巧みな組み手。立は良い形で相手の襟をつかませてもらえない。一瞬も気が抜けない展開。結局、3分の制限時間内で勝負がつかず、試合は延長戦へ。延長戦は無制限。先に有効以上か、どちらかに指導が与えられた時点で勝負は決する。体力は限界に近かった。勝ちたい…その執念だけだった。そして延長2分。立の技は決まらなかった。
だが立が続けてきた攻撃で、相手に消極的の指導が与えられた。この瞬間、立の日本一が決まった。立は中学日本一を自らの力で成し遂げた。母、三恵子さんから父の写真を手渡された立は、それまでこらえていた感情があふれ出た。

五輪2大会連続、金メダルを勝ち取った、父の遺伝子を受け継ぐ14歳の少年。斉藤立は、いつか輝かしきバース・デイを迎えるその日まで、亡き父と走り続ける。
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