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BACK NUMBER #530 2016.7.23 O.A.

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プロ野球第2の人生 夢の甲子園出場へ…
2016年7月10日。甲子園出場を懸けた神奈川県大会が開幕。神奈川の名門は、東海大相模や横浜高校、さらには桐光学園、桐蔭学園など数多く存在。しかしその他にも、甲子園を狙える力を持った高校がひしめき合っている。その中に、今大会の第1シードを勝ち取り、注目を集める高校があった。それは藤沢翔陵高校。チームを率いるのは監督・川俣浩明(43)。彼は、かつてロッテと阪神に在籍していた元プロ野球選手だ。藤沢翔陵高校野球部の部員数は123名。川俣はチーム作りから奔走する。中学時代に名を馳せた選手は、名門校に推薦で進んでしまうため、川俣は自らが中学校やボーイズリーグのチームに出向き、磨けば光る原石を探しスカウト。超一流ではないが、可能性を秘めた選手たちだ。そんな彼らに川俣が重要視しているのは練習への意識。その違いが、超一流との差だと川俣は考えている。練習中は徹底的に選手を観察。練習意識の高いものにチャンスを与える。
川俣は野球エリートではない。彼は現在監督を務める藤沢翔陵高校出身。エースになったものの、県大会ベスト16で敗退。プロ選手になる夢はあったが、声がかかるような選手ではなかった。高校卒業後、大阪ガスに進んだが2年間ほとんど出番はなかった。それでもその裏で努力を続け、社会人3年目でようやくレギュラーを獲得した。その後も練習に励み、社会人野球6年目の1996年、24歳の時に、ついにロッテからドラフト3位指名で入団。努力の末に夢を叶えた。しかし、プロの壁は想像以上に高かった。プロ初登板、相手は当時23歳のイチロー。ホームランを打たれた。川俣はその後もプロで1勝もあげることができなかった。ロッテに5年、阪神に1年在籍し、30歳で現役を引退した。川俣が第2の人生として選んだのは、高校野球の指導者。野球への情熱が冷めることはなかった。そして、何よりも野球の素晴らしさを後輩たちに伝えたかった。しかし、元プロ野球選手が高校野球の指導者になるには規定があり、2年間の教員生活が必要。そのため、31歳の時に大学に入学し、4年間通い教員免許を取得。その後、母校である藤沢翔陵高校の社会科の教師として2年間の教員生活を送った。そして2010年、37歳で野球部の監督に就任した。今年で就任6年目。しかし、激戦区神奈川県において最高成績はベスト16。川俣は、その壁を乗り越えるため、去年から新たな取り組みを始めた。それは選手の自主性を高めること。川俣が練習メニューを与えるのではなく、選手たちそれぞれに自分が必要な事を考えさせた。すると、選手たちが求めているものが明確になった。そのことで、川俣の選手個々に対する指導が具体化された。そして、選手の特性がよりわかり、チーム作りの方針が明確になった。そんな成果が現れたのは2015年。10月に行われた県大会でチームとして40年ぶりのベスト4入り。さらに今年の春の県大会でもベスト4入りを果たし、ついに甲子園への道が見えた。
部員の中に、川俣が大会のキーマンと考えている生徒がいる。4番バッター・森山孔介。森山は中学時代、実力はあったものの野球に対する意識が低く、強豪校へ進学できなかった。一時は野球を辞めようと考えていたが、川俣に説得され、藤沢翔陵で野球を続けることになった。川俣は、まず森山と会話する機会を増やした。そして人として、しっかり向き合うことを心懸けさせた。すると、人間性の成長とともに野球への取り組み方が目に見えて変わり始め、今では、持ち前の長打力で高校通算25本のホームランを放つ、プロも注目する選手になった。
そして、迎えた神奈川県大会初戦。実は川俣は、この日のために選手たちに秘密であるものを準備していた。それはOBの父兄に頼んで作ってもらった3年間の練習風景をまとめた映像。辛かったこと、楽しかったこと、共に3年間頑張ってきた仲間たちへの思いが込み上げる。そんな思いを胸に夢への戦いに挑んで欲しい。それが川俣から選手たちへのメッセージだった。
188校が参加する神奈川県大会。藤沢翔陵と同じブロックには、光明相模原。隣には強敵・桐光学園。さらに勝ち抜けば、準決勝で優勝候補筆頭・横浜高校が待ち受ける。初戦の相手はノーシードの県立校・茅ケ崎北陵。今後の戦いを見据え、圧勝し勢いをつけたいところだ。そんなナインの思いが初回から爆発する。3番・近藤がホームランで先制。その後、追加点を重ね、3回裏にはキーマンの4番・森山が豪快な一発で4-0。さらに打線が爆発。4回裏に3点を加え、5回を終わって8-1と大量リード。そして6回裏、またしても森山のホームラン。藤沢翔陵は第1シードの貫禄を見せつけ、10-3と7回コールド勝ち。初戦を突破した。
遥かなる甲子園へ。1人の元プロ野球選手と、その思いを繋ぐ藤沢翔陵ナイン。全国屈指の激戦区に挑む彼らの戦いから目が離せない。
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