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BACK NUMBER #518 2016.4.23 O.A.

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前田健太(28) メジャー挑戦の舞台裏
アメリカ・ロサンゼルス。メジャーリーグ・ドジャースのファンは今、一人の日本人メジャーリーガーの活躍に沸いている。その熱狂ぶりは想像以上だ。その男の名は前田健太(28)。今年、広島東洋カープからロサンゼルス・ドジャースに移籍。年俸は、メジャーリーガーの平均よりも低い3億6000万円(推定)。そんな前田が、開幕から3試合投げ、19イニングでわずか失点1、リーグトップの防御率を誇っているのだ。予想を超える活躍をみせる前田にファンの注目が集まっている。ではなぜ、ニッポンのエースがメジャーの平均以下の契約になってしまったのか?そこには、知られざる苦悩の日々があった。実は、契約前のメディカルチェックで、前田にある問題が発覚。一時は契約が破談になりかけ、ドジャースに入団できるかさえもわからなかった。いったい何があったのか?野球人生を懸けたメジャーへの挑戦。その舞台裏を追った。
高校時代、名門・PL学園で甲子園に出場した前田は、走攻守、全ての面で、ずば抜けた野球センスを見せつけた。エースとして快速球でバッターを圧倒。そしてバッティングでも、高校通算27本塁打。そして高校卒業後ドラフト1位で広島に入団。前田は、2年目にして、エースナンバー18を背負い、チームの大黒柱になることを期待されていた。最大の武器は、日本球界最高と言われるスライダー。鋭く曲がる伝家の宝刀と、最速153キロのストレートをコーナーギリギリに決め、並みいる強打者をねじ伏せた。そしてプロ4年目、22歳で最多勝・最高防御率・最多奪三振の投手三冠タイトルを史上最年少で獲得。2014年4月には超一流の証となるノーヒットノーランを達成。前田の凄さは成績だけではない。それは怪我をしないこと。すっかりお馴染みになったマエケン体操は、体のケアの一環。前田は、実に7年連続、規定投球回数をクリア。長期離脱は一度もない。そんな前田に転機が訪れたのは、プロ7年目で迎えた2013年のWBC。世界の強打者と対戦する中で、ある思いが芽生えたという。「メジャーリーグで自分の力を試してみたい」そんな思いだった。そして2015年オフ、ポスティングシステムでメジャー挑戦を表明。当初メジャー10球団が興味を示し、年俸10億円は下らない大型契約になると囁かれた。しかし、予想もしない壁が立ちはだかる。それは前田にとって思いもよらないことだった。球団との本格的な交渉を前に行ったメディカルチェックで、ある問題点が見つかったという。前田はこれまで大きな怪我がなく、長期離脱をしたこともない。前田にとって、信じがたい、まさかの出来事だった。そんな中、ドジャースとの交渉が進められたが、怪我のリスクを恐れたチームは、契約に慎重になっていた。前田とドジャースとの交渉は難航。一時は破談になりかけた。しかし前田は、どんな契約でも移籍したいと再交渉。しかしその内容は、異例のものだった。8年契約で、年俸は広島のときとほぼ変わらない3億6000万円(推定)。これはメジャーリーガーの平均よりも低い、格安の契約。その一方で、イニングや先発の回数なども出来高次第で、年間最大、約12億円が加算。成績に大きく左右される契約内容だった。その契約にマスコミは、「奴隷契約」「買い叩かれた」など辛辣な言葉を投げつけた。見返すには結果を出すしかない。そんな思いを胸に前田のメジャーへの挑戦が始まった。まずはチームに馴染もうと、積極的にコミュニケーションを図った。しかし、肝心のピッチングで1つ大きな不安があった。それは、日本では三振の山を築いたストレートが簡単に打ち返されてしまう事。日本との違いを痛感させられた。前田は、バッターの手元で小さく変化するボール、ツーシームを試すなど、手探りの中オープン戦を戦った。
迎えた4月7日。前田の真価が問われるメジャーリーグデビュー戦がやってきた。格安契約で入ってきた日本人が、どんな投球を見せるのか。ドジャースのファンが固唾を飲んで見守っていた。ようやくたどり着いたメジャーのマウンド。前田は燃えていた。初回は見事三者凡退に抑えた。ここから前田は、抜群のコントロールで並みいるメジャーリーガーに、その実力を見せつける。さらに驚かせたのは、ピッチングだけではなかった。4回表の第2打席。まさかのホームラン。チームメイトも大興奮だ。その後も前田の好投。6回を無失点と完璧な内容でメジャー初登板を勝利で飾った。前田の快進撃は今も続いている。ここまで3試合を投げ、失点はわずか1。防御率0.47は堂々リーグトップの成績だ。
苦難を乗り越え、夢を実現させた前田健太。日本のエースから世界のエースへと歩み始めた前田の更なる飛躍を期待したい。
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