バックナンバー:バース・デイ

BACK NUMBER #515 2016.3.26 O.A.

バックナンバー
楽天ドラフト1位・オコエ瑠偉 知られざる苦悩
3月25日、ついに開幕を迎えた2016年のプロ野球。この栄えある大舞台に高卒新人としてただ1人立ったのが、東北楽天ゴールデンイーグルス・オコエ瑠偉(18)。去年夏、驚異の身体能力で甲子園を沸かせたオコエ。しかし、開幕一軍を掴み取るまでの道のりには、地獄の苦しみがあった。立ちはだかるプロの壁…。そしてテレビ初公開、秘蔵映像で綴るゴールデンルーキーの知られざる苦悩と激動の日々に密着した。
2月1日、沖縄県久米島。楽天、春季キャンプ初日の朝、いよいよプロ野球人生が始まるオコエの宿舎での撮影を許された。球団史上初、高卒野手で一軍キャンプ参加。わからないことは、相部屋の先輩・福田将儀に相談する。真新しい背番号9のユニフォームに袖を通す。この日集まった報道陣の数は約180人。あの田中将大の入団1年目以来の多さだ。オコエが動けば報道陣も動く。これほど注目されているのは、去年の夏、甲子園で見せつけたその身体能力。センターを襲った大打球を見事キャッチ。度胆を抜いたのは、守備だけではない。一塁手が打球をそらしたと見るや一気に二塁へ。守備・走塁で見せるオコエの規格外のプレーに甲子園は、どよめき続けた。そんなオコエを楽天がドラフト1位で指名。一軍スタートに抜擢された。しかし、待っていたのは人生で初めて体験する高い壁。本当にプロでやっていけるのか?ドラフト1位の重圧が18歳の背中に重くのしかかっていた。
1997年、東京都東村山市でナイジェリア人の父と日本人の母との間に生まれた。野球を始めたのは6歳のとき。地元、東村山の少年野球チームの関係者に誘われ入団。背は特に高いという訳ではなかったが、手足が長いのが印象的だった。野球のプレーでも、その特徴は生きていた。ランナーに出ると、すかさず盗塁。そして3塁へ。ストライドの大きい俊足ぶりは、今を彷彿させる。驚くことに当時のポジションは、キャッチャー。その強肩ぶりは、際立っていた。チームは都大会優勝。その中でオコエの身体能力はの高さは、ずば抜けていた。中学では、シニアリーグの強豪、東村山シニアに入団。外野手に転向し、1年生からレギュラーとして活躍した。当時の監督が最も驚いたのは、やはり走塁の能力だったという。高校は、強豪・関東第一高校に進学。2年生からレギュラーとなり、3年生の夏、その名を一気に全国に轟かせる。東東京大会決勝。オコエが打席に入り、センターが下がったのを見たオコエは、普通のセンター前ヒットを瞬時の判断力と驚異のスピードで2塁打にしてしまった。プロのスカウトが注目し始めた。そして、甲子園の舞台で守備と走塁だけではないことを証明する。バッティングも甲子園で決勝ホームランを放つなど、3割を超える打率を残し、非凡な所を見せた。
2016年2月1日、プロ野球キャンプ初日、楽天のスーパールーキー・オコエのプロ野球人生がスタート。オコエのバッティング練習が始まると注目が一身に集まった。しかし、そのバットから快音が響くことはなかった。スイングはバラバラ、芯で捉えた打球は、ほとんどない。結局37スイング中、ヒット性の当たりは数本。翌日の紙面には厳しい言葉が躍った。2日目、打撃コーチを担当する池山隆寛がオコエに声をかけた。池山が指摘したのは高卒ルーキーが陥りやすいある問題だった。高校で金属バットに慣れ過ぎ、木のバットに対応できない。それは、誰もが通る道だという。違いはボールを跳ね返す芯のスポット部分。木のバットは金属に比べてかなり狭く、この対応に時間がかかる選手が少なくないという。そして、池山がバッティングフォームの修正に取りかかった。ボールを芯で捉えやすい脇を締めたコンパクトなスイングを体に覚えこませる。ホテルに戻ると、深夜まで素振りを続けた。プロで通用するスイングを一から作り直す。夜、宿舎に戻ったオコエのもとを訪ねると、手には苦悩を物語るように複数のまめができていた。そしてキャンプも半ばを過ぎ、いよいよ他チームとの練習試合が始まった。実戦の場で経験を積ませたいという首脳陣の方針で、オコエにも出場機会が多く与えられた。そして、守備で魅せる。抜ければ長打という難しい打球をいとも簡単にキャッチ。守備力は、すでにプロでも上位に位置することを実践の中で見せつけた。2月20日、この日は阪神との練習試合。オコエは8番センターで先発起用された。2回、1アウト1-3塁のチャンスに打席が回った。マウンドには、阪神の若きエース、藤波晋太郎。その2球目だった。151キロのストレートを見事打ち返した。池山コーチが言うコンパクトなスイングが出来ているからこそのヒットだ。そして、注目すべきはチャンスでの強さ。オープン戦通算打率は2割なのに対し、得点圏打率はなんと5割。これはスター選手を予感させる「何か持っている」と梨田監督も評価する。
そして2016年のペナントレースが開幕。オコエは12球団で唯一、高卒ルーキーで開幕一軍を掴み取った。日本の野球に革命を予感させる男、オコエ瑠偉(18)。その体に備わった力が、どんな花を咲かせ、実を結ぶのか?新たなスターへの成長を大いに期待する。
[BACKNUMBER]
banner_AD
Loading…

SNS

TBSトップページサイトマップ Copyright© 1995-2024, Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved.