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BACK NUMBER #514 2016.3.19 O.A.

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女子マラソン オリンピック代表選考争い
女子マラソンの五輪をかけた戦い。そこには、常に熾烈なドラマが巻き起こる。そして今年もリオデジャネイロ五輪の切符をかけた戦いは、大きな騒動に発展した。女たちの壮絶な戦い。女子マラソン代表選考には、一体何があるのか?
女子マラソンの五輪代表を巡る争いは、これまでも幾度となく繰り広げられてきた。
<バルセロナ五輪 有森裕子vs松野明美>
日本女子マラソン史上、最初の騒動となったのが、1992年に行われたバルセロナ五輪の代表選考だった。代表枠は3つ。そのうち1つは、世界陸上で銀メダルを獲得した山下佐和子が内定。続いて大阪国際で、当時の日本最高記録を更新して優勝した小鴨由水も代表確実となった。そして残り1つの切符をめぐり、2人の選手が激しい火花を散らした。1人は元日本最高記録保持者・有森裕子。有森は山下が内定を決めた世界陸上に出場。気温25度を超える過酷な状況で、優勝候補たちが次々と脱落していく中、4位に入賞。その勝負強さで代表候補に名乗りを上げた。そしてもう1人が、大阪国際で代表を確実にした小鴨に続き2位に入った松野明美。松野は初マラソンながら小鴨と同じく、有森の持っていた日本最高記録を上回った。選ぶべきは世界で勝負強さを発揮した有森か、それともタイムで上回る松野か。明確な選考基準が無かったため、代表争いは世間を二分する大騒動に発展した。そんな中、関係者の間で五輪本番は真夏の猛暑になることが予想されていた。そのため、暑い中で結果を出した有森が有利と囁かれた。すると松野が大胆な行動に出る。代表発表の直前に異例の記者会見を開き、強烈なアピールを行ったのだ。この行動がさらに国民的な関心を引き寄せた。そして大注目の中、代表に選ばれたのは有森裕子だった。迎えたバルセロナ五輪。有森は気温30度と過酷な暑さの中、他の日本人選手を退け、日本女子マラソン史上初のメダル獲得という快挙を成し遂げた。
<シドニー五輪 市橋有里>
2000年のシドニー五輪。高橋尚子の金メダル獲得に日本中が湧いた。しかし、このときの代表選考も大きな物議を呼んだ。シドニー五輪を翌年に控えた1999 年の世界陸上。市橋有里は、代表選考の対象となったこの戦いでトップ争いを展開した。そして、優勝は逃したものの、2時間27分2秒で見事銀メダルを獲得。いち早く代表内定となった。当時22歳だった市橋は、愛くるしいルックスも相まって、若きニューヒロインとして脚光を浴びた。しかしその後、代表選考が進むにつれ取り巻く状況が一変する。市橋が内定し、残る代表枠は2つ。それにも関わらず、その後行われた3つの選考会すべてで、市橋の世界陸上でのタイムを大きく上回る22分台で走る選手が3人もいた。大きな注目を集める中、行われた代表発表。唯一、選考レースで優勝を逃し、タイムも3人のうち比較的遅かった弘山晴美が落選した。するとこの決定を受け、市橋の代表内定が早過ぎたのではないかという選考への批判が飛び出した。そしてその声は、市橋自身に向けても浴びせられた。心無いファンから剃刀入りの封筒まで送りつけられた。五輪の夢舞台までの切符が、市橋にとっては、重い十字架となっていった。迎えたシドニー五輪。このとき日本中を釘付けにしたのは、共に出場した高橋尚子だった。高橋は日本女子マラソン史上初の金メダルを獲得。一方市橋は、高橋から約7分遅れてのゴール。日本人最下位の15位という結果に終わった。五輪を巡る女子マラソンの代表選考は、勝者にも敗者にも心に傷を残す。
<リオデジャネイロ五輪>
今回の代表選考も3つの代表枠に対し、4つの選考会で争われた。まず最初に行われた世界陸上で、伊藤舞が日本人トップで入賞し内定。残る代表枠は2つとなった。2つ目のさいたま国際は、日本人トップの選手が平凡な記録で終わり代表内定は出ず。福士が優勝したのは、3つ目の大阪国際。このとき福士は、優勝だけではなく定められた選考タイムもクリアしていたため、有力候補に挙がった。しかし、選考会はあと1つ残されていた。レースの結果と内容によっては、福士の落選の可能性がわずかに残されていたのだ。結局福士は出場を取りやめたが、代表争いの複雑さが浮き彫りになった。そして3月13日、最後の代表選考会、名古屋ウィメンズマラソンが行われた。リオへの切符をかけた戦いは、五輪代表選考史上に残る大激戦となった。この日、レース後半で日本人トップに立ったのは、田中智美(28)。その田中を後方から小原怜が追い上げる。勝負は一騎打ちとなった。互いに一歩も譲らずゴールのある名古屋ドームへ。1秒差で田中が勝利した。
3月17日、ついにリオデジャネイロ五輪の女子マラソン日本代表が発表された。リオへの切符を掴んだのは、世界陸上で日本人最上位の伊藤舞、唯一設定記録を突破した福士加代子、そしてわずか1秒の差で勝利した田中智美が選出された。
これまで五輪で輝かしい実績を残してきた日本女子マラソン。熾烈な戦いを勝ち抜いた彼女たちの先には夢舞台、五輪が待っている。次に世界へと羽ばたくのは誰なのか?
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