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BACK NUMBER #511 2016.2.27 O.A.

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侍JAPAN4番候補 筒香嘉智の挑戦
この男のバッティングは見るものを魅了する。驚異的なスイングスピードで打った瞬間、打球は一瞬にしてスタンドへ消えていく。打球の速さは、観客の反応からもわかる。横浜DeNAベイスターズ・筒香嘉智(24)。筒香は昨年シーズン、12球団最年少でチームの4番、さらにキャプテンも務めた男。打率0.317、ホームラン24本、93打点と、素晴らしい活躍を見せた。2009年ドラフト1位で横浜DeNAに入団。筒香のスイングは高卒ルーキーとは思えない迫力に満ちていた。如何にしてその才能を開花させたのか?そこには、筒香の野球に取り組む、ひたむきな姿勢にある。昨シーズン終了後、筒香は驚くべきプランを発表した。なんと、オフを返上し、海外武者修行を決行。そこには、どんな思いがあったのか?
筒香は、高校時代から別格だった。名門・横浜高校の4番を、1年生から務め、あの松井秀喜を上回る高校通算69本のホームランを放ち注目を集めた。甲子園でも2打席連続のホームランで、全国の野球ファンの度肝を抜く。横浜高校のOBには、プロで活躍した選手が名を連ねる中、彼らを育てた指導者は、こう断言する。
「横浜高校、史上最強のスラッガーは筒香だ」
当時、身長184cm、体重88kg。当時から堂々たる体格だった。筒香を見た球界関係者が最も驚いたのは、高校生離れしたスイングスピード。この頃からプロを意識し、木のバットでの練習を続けていた。2009年、ドラフト1位で横浜ベイスターズに入団。1年目のキャンプから筒香のスイングは、高卒ルーキーとは思えない迫力に満ちていた。プロ入りする選手の体格だけを比べれば、筒香と同等、もしくは、それ以上の選手も珍しくない。しかし、体格は立派でも、打球を遠くに飛ばせるかは、天性のものだという。そして筒香にはその才能があった。プロ1年目から、2軍でホームランを量産。ホームラン王と打点王に輝き、シーズン終盤、1軍に昇格。そして、初ヒットでホームラン。その後の活躍を予言するかのような素晴らしい当たりだった。1年目から順調だったプロ生活。しかし筒香は、その才能に溺れることなく、独自のトレーニングを始めていた。それは、体幹を鍛えるトレーニング。バッティングでの体の動きを想定し、器具を使って鍛え上げる。筒香は、このプログラムをこなすために、毎年オフ、アメリカに渡り、ひたすら鍛え続けた。そして、ケガをした2013年を除き、筒香のホームラン数は、着実に増えていった。2015年には、打撃3部門で自身最高の成績を残し、高卒の野手としては球団史上最速の1億円プレイヤーとなった。そして、驚くべきことを決行する。2015年12月、筒香はドミニカ共和国を訪れた。この時期行われるウィンターリーグに参加するためだ。ウィンターリーグとは、10月から1月に開催されるドミニカのプロリーグ。ドミニカ出身のメジャーリーガーや、マイナーリーグからのレベルアップを目指す選手なども参加し、ハイレベルな闘いが繰り広げられる。特に、まだ来季の契約が決まっていない選手にとっては、真剣勝負の舞台だ。日本からも過去、若手選手がチャレンジしているが、筒香のような実績のある一流選手が出場するのは極めて異例だ。では、なぜ参加することを決めたのか?居心地の悪い環境にあえて自分を追い込む。筒香は、若い選手が必死にメジャーを目指す厳しさの中に、自分も身を置いてみたいと考えた。日本では4番キャプテンだが、ここでは、いち野球留学生。相手投手のデータなど、全くない中で試合に臨む。そして迎えたドミニカでの初試合。筒香はどんなバッティングを見せるのか?結果は5打数ノーヒット。ヒットすら打つことができなかった。外国人投手特有の、手元で小さく動く速球に全く対応できなかった。実は筒香は、日本でもこの手元で小さく動く速球を苦手にしていた。芯でとらえたと思った瞬間、微妙に外され、凡打に打ち取られてしまう。日本人投手には、このボールを投げる選手は少ないが、メジャーリーグや中南米リーグでは、このムービングボールと呼ばれる速球を駆使するピッチャーが多い。ここはドミニカ共和国。このままでは結果など出ないと感じた筒香は、なんと、この異国に地で、バッティングフォームを修正すると決めた。最大の修正ポイントは、右足の動き。日本では、右足を早めにゆったりと上げ、タイミングを取っていた。しかし、この打ち方では、直前に変化するボールに対応出来ない。そのため筒香は、右足を上げるタイミングを遅らせようと考えた。そうすることで、ボールの手元での変化をギリギリまで見極めることができ、的確にバットでとらえられる。筒香は、わずか1試合でフォームを修正するという判断を下した。そして、そのフォームを身につけるため、右足を意識してのバッティング練習が続いた。成果は実践でも少しずつ現れ始めた。ドミニカに来て3週間。もはや違和感がないほど、苦手のムービングボールに対応できるようになった。筒香の取り組みは、日本で始まった春季キャンプでも続いていた。そこには、去年(2015年)、自己最高の成績を残したおごりなど、微塵もない。弱点を克服し、更なる高みを目指す、そんな前向きな思いが全身から放たれていた。そして、今季初の実践となる紅白戦、その第一打席で筒香は、我々を驚かせた。ドミニカから試し始めていた新しいバッティングで、いきなりのホームラン。このインパクトの瞬間、筒香は、かつてない手応えを感じていた。
そして先週、3月に行われる侍ジャパンの強化試合のメンバーが発表された。そこで、監督の小久保は、4番は誰にするのか?という質問に筒香の名前をあげた。
チームだけではなく、侍JAPAN不動の4番へ。横浜DeNAベイスターズ・筒香嘉智(24)。プロ野球新時代を切り開く主役として、どんな進化を遂げるのか期待したい。
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