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BACK NUMBER #444 2014.11.1 O.A.

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ワールドカップ日本代表まさかの落選…悔し涙を流した男の再起を懸けた戦い
6月15日。FIFAワールドカップ・ブラジル大会。日本代表は初戦のコートジボワール戦に臨んだ。その試合を1人の男が、複雑な思いで見つめていた。細貝萌、28歳。細貝は、ザックジャパンにほぼ欠かさず招集されてきたにも関わらず、この日から1か月前、代表メンバーから落選。幼い頃からどうしようもなく憧れたワールドカップの舞台。光輝くピッチを見るほどに、落選という心に刻まれた悔しさが、込み上げてくる。そして胸に、ずっとため込んだ思いが、あふれ出た。なぜ、自分が選ばれなかったのか…。細貝は受け止め切れずにいた。
細貝が初めて日本代表に招集されたのは、ザッケローニが監督に就任した2010年の8月だった。ザッケローニは、細貝が見せるある能力に強く惹かれていた。それは「危機回避能力」。細貝のポジションはボランチ。ボランチは、相手の攻撃の芽を摘み、新たな攻撃の起点となるポジションだが、細貝は、その中でも特に相手の攻撃の芽を摘むことに、優れた能力を発揮していた。就任からおよそ3年間、ザッケローニは、日本代表のゲーム50試合中、44試合に細貝を招集した。そして、主にチームがリードしている時、守りを固め、逃げ切りをはかる場面で起用。細貝もその期待に応え、何度となく日本代表の危機を救った。
迎えたワールドカップイヤーの2014年、日本代表に衝撃が走る。メンバー発表の直前、代表チームのキャプテン、不動のボランチだった長谷部が、右ひざ半月板を損傷。ワールドカップに間に合うかどうかわからない状況になった。チーム編成に、根本的な変化をもたらしかねない事態。様々な報道が飛び交う中、細貝への注目が高まった。そして5月12日、代表メンバー発表当日。この日のスポーツ紙の多くは、細貝の代表入りが有力だと予想していた。しかし、ボランチの中に細貝の名前はなかった。ザックジャパンを支えて来た、守備のエキスパート、細貝を外し、より攻撃的な青山、大久保といった選手を選んだ。
6月、ワールドカップが開幕。日本中が代表チームの戦いに期待していた。初戦のコートジボワール戦を迎えたこの日、細貝は自宅のテレビの前で試合を観戦していた。1か月前に突き付けられた、悔しさを胸に。自分が立っていたはずの舞台を。言葉もなく、じっと見つめる細貝。しかし、攻撃重視で臨んだ日本代表が、守備を崩され、コートジボワールに逆転負けを喫した。この時、細貝は込み上げる思いを抑えきれなかった。自分はここでいったい何をしているのか?複雑な思いが胸に渦巻く。絞り出すかの様に、口にしたのは、自分に期待してくれた人々への詫びの言葉だった。
2日後、細貝は1人グアムに来ていた。悔しさになど浸ってなどいられない。次への戦いに1日でも早く挑みたい。そんな思いが体を突き動かした。絶対に、自分が必要とされる時がやってくると信じて。
今年、8月。細貝はドイツの首都ベルリンにいた。現在、彼はドイツ・ブンデスリーガ1部のヘルタ・ベルリンに所属している。ブンデスリーガは、今年ワールドカップで優勝したドイツ代表メンバーが多く活躍する、ヨーロッパ屈指のリーグ。香川、岡崎、内田など多くの日本人選手と共に、このハイレベルな舞台で既に4年戦っている。日本代表に呼ばれるためには、ここで活躍するしかない。細貝は、ボランチのレギュラーを勝ち取り、新たなシーズンを戦っていた。
細貝は、ドイツ・ベルリン市内で妻・さやかさんと2人で生活している。サッカーのためなら、ドイツに骨を埋めてもいい。そんな覚悟で細貝は日々の戦いに取り組んでいる。
そして、8月28日、新たな日本代表メンバー23人が選ばれ、そのリストがマスコミに公開された。海外組が11人。その中に、この男の名前もあった。ボランチ・細貝萌。その連絡は、細貝の下にすぐに届けられた。現在、アギーレジャパンは親善試合4試合を戦い、細貝はその全ての試合に出場している。
ワールドカップメンバー落選という大きな屈辱を跳ね返し、細貝が4年後のロシアワールドカップで、どんなドラマを見せてくれるのか、期待したい。
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