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BACK NUMBER #434 2014.7.26 O.A.

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開成高校野球部の闘い
東大合格者、33年連続トップ、開成学園高校。1学年400人のうち、毎年、150人前後の東大生を排出している日本一の進学校。しかし、以外にもその教育方針には、スポーツが重要な位置を占めている。そこには、こんな狙いがある。明確な答えがある勉強とは違い、答えのないスポーツに取り組ませることで、社会に出てから重要となる、人間力を鍛える。そのため、どの部活も勝敗に徹底的にこだわり真剣勝負を挑む。今年、総武112年を迎える、伝統の硬式野球部は、まさにその典型だ。部員は1年生〜3年生まで32人。彼らの目指す職業は、政治家や検察官、建築家、宇宙関係など、多岐に渡り、東大進学はあくまでその実現のためのステップに過ぎないと言う。そんなエリート球児を指導する監督もまた個性的だ。勝つための戦術は、高校野球の常識を覆す、耳を疑うものだった。開成高校野球部。そこには野球に真剣に向き合い、未来のエリートの人間力を育てる、ノウハウがつまっていた。目指すは、甲子園!どんな強豪校にも臆することなく挑む、日本一の進学校。もう1つの真夏の戦いに密着した。
今年3月。開成野球部の夏の甲子園を目指す戦いが始まっていた。
監督を務めるのは、青木秀憲、43歳。青木は東京大学の野球部出身。新チームの指導は、驚くべき言葉から始まった。東大合格より、勝つことの方が難しい。それは、部員のレベルを見えば明らかだった。その多くが、高校まで、野球どころか、体を動かすことに、あまり時間を費やしておらず、運動能力は、お世辞にも高いとは言えない。その上、練習環境も決して恵まれているとは言えない。開成には、あらゆる運動部でグラウンドを均等に使うという規則があり、野球部のグラウンド練習は、なんと1度。それも、わずか3時間。
強豪校と同じ舞台で戦う資格すら疑われる状況。にも係わらず、青木監督は「目標は甲子園出場!」と豪語する。監督だけではない。勝利への意識は、部員にも高い。そんな開成高校野球部は、高校野球の常識を覆す、とんでもない戦略を考えだした。その、戦略とは…
「守備は捨て、打撃で勝つ」
週1度だけ使えるグラウンドでは、守備練習は一切なし。3時間、ひたすら打撃練習しかない。「弱いチームには、弱いチームなりの勝ち方がある」青木監督は、限られた時間で全てを中途半端にこなすより、バッティングを集中的鍛えた方が、勝利に結びつく可能性が高いと考えていた。
グラウンドが使えない残り6日、野球部員は一人一人、個別で練習に取り組む。彼らはその練習を「研究」と捉えていた。部員それぞれが自分のテーマを考え、技術の向上に取り組む。ボールが使えない場所では、バドミントンの羽根を打ち続ける。中にはバッティングを物理と捉える部員もいた。部員の中には、研究をバッティングセンターで行う者もいた。この部員が自らに設定したテーマは打撃フォーム。仲間に、携帯で撮影してもらいながら、理想のフォームを追求する。研究した成果は週1度のグラウンド練習で実験する。
2014年3月21日、新チームになって初めて迎えた公式戦。対戦相手は、昨年(2013年)夏の東東京大会で4回戦に進出したチーム。試合は開成の狙い通りの展開となった。4回に3年の谷野が2ベースヒット。これをきっかけに開成打線に火が付いた。9回の攻撃を終え、9対3とリード。しかし、練習をしてこなかった守備でエラーを連発してしまい、一気に1点差まで詰め寄られた。その後、2点タイムリーヒットを浴び、逆転サヨナラ負け。6点のリードをあっという間にひっくり返され、初勝利を逃した。
そして、開成高校野球部の夏の大会が始まった。その第1戦は、昨年(2013年)コールド負けをした都立武蔵丘。初回、いきなり先制を許したが、守備でなんとかピンチを切り抜けた。2点差で追う7回、開成打線に喝を入れたのが、やはり谷野だった。頭上を越える2ベースヒット。しかし、点を追加することができず、開成野球部の夏は終わった。
日本一の進学校、開成高校野球部。甲子園を目指す真剣勝負の中で、それぞれの選手が何を掴み取ったのか。それはかけがえのない、未来への糧になるだろう。
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