会見レポート:ドラマ特別企画『あにいもうと』

会見レポート

『あにいもうと』会見レポート

<写真01>

5月7日(月)、ドラマ特別企画『あにいもうと』 記者会見が行われました。
大泉洋さん、宮﨑あおいさん、脚本・山田洋次さん、石井ふく子プロデューサーが登壇し、番組の魅力を語ってくださいました。

◆石井ふく子プロデューサー
<写真02> 先ほど山田洋次さんと「私たちが出会ったのは50年以上も前なんですね」とお話したのですが、お会いすることはあってもお仕事するのは30年ぶり。やっと念願が叶いました。
『あにいもうと』は、1972年(昭和47年)に、山田洋次さん脚本、渥美清さんと倍賞千恵子さんでテレビドラマ化した、私にとって思い入れのある作品です。
そして今回ドラマ化するにあたり、誰に兄と妹を演じてもらうべきか、ずっと考えておりました。山田さんとも相談し、今までお仕事をしたことのない方がよいのでは?と、大泉洋さんと宮﨑あおいさんにお願いをしました。今回、お二人に出会えたことは、私の財産です。なぜ今までオファーしなかったのか後悔するほどです。

山田さんの脚本もすごく素敵なんです。
現在、2020年のオリンピックに向けて、様々な場所で建設工事が行われていますよね。その中で、昔ながらの工法で日本の伝統技術を守る大工さんを描いてみたいと思い、山田さんと取材を行いました。物語の中では、赤座家は工務店を営んでいるという設定で、大泉さんには昔ながらの大工を演じていただきました。

家族の在り方をもう一度考え直すことのできる、素敵な作品になったと思います。

◆山田洋次さん(脚本)
<写真03> 今から40年以上前、石井ふく子さんとは20本近いテレビドラマを作ってきました。そのことを懐かしく思い出します。石井さんとお会いする度に「ぜひ、またご一緒しましょう。いい本を書いてください」と言われ続けてきたのですが、ある時期から“もう一度『あにいもうと』をやりたい”と思うようになりました。もっと膨らませた形の結末を描いてみたいと。そして今回、このような形で実現できてよかった。いい俳優さんが見つかればいいなと思っていたのですが、大泉洋さんと宮﨑あおいさんという素晴らしい配役に決まり、テレビドラマ化できたことを嬉しく思います。

◆大泉洋さん(赤座伊之助)
<写真04> 赤座伊之助という昔ながらの下町の大工を演じました。石井プロデューサーがおっしゃっていましたが、このドラマはオリンピックで近代的な建物が建つ中、昔ながらの仕事をする大工さんを描いている。それは面白い切り口だなと思いました。また、脚本は山田洋次さん。僕らの世代にはたまらないですよ。子供の頃から、『男はつらいよ』を見ていましたし、僕はよくモノマネをするのですが、4歳くらいかな?人生で初めてモノマネをしたのが“寅さん”で。「そうだよ、さくら」と真似をすると親が笑ってくれるのが嬉しくて。 脚本を読んだとき、“寅さん”がいるような気がして興奮しました。
妹への愛情、家族への愛が詰まっていて、尚且つコメディの要素が入っていて面白い。こんなに素敵な役をやらせていただけることは、ここまでがんばってきた僕へのご褒美じゃないかと。この役に出会わせてくれて本当に感謝しています。

◆宮﨑あおいさん(赤座桃子・もんち)
<写真05> 初めて台本を読ませていただいたとき、もんち(私の演じる桃子は“もんち”と呼ばれています)という女性が大好きになりました。そして、もんちを演じられることにワクワクしました。

大泉さんはムードメーカーで、現場ではいつもみんなを笑わせてくれたのですが、もんちは、お兄ちゃんのユーモアに笑わず、ケンカし、悪態をつくような人。演じていて思ったのは、この兄妹はすごく似ているなと。似ているからこそぶつかってしまう。ケンカをしてしまう。大好きだからこそ許せないところがたくさんあるのだなと強く感じました。

とても愛に溢れた物語を、石井プロデューサー、脚本の山田さん、清弘監督らスタッフのみなさん、共演者のみなさんと話し合いながら一生懸命作り上げました。家族みんなで楽しんでいただけると思います。

出演オファーを受けたときの、率直なお気持ちをお聞かせください。

◆大泉洋さん
<写真06> <写真07> 私にこのような仕事がくるのか、と驚きましたね。子供のころから石井ふく子さんの作品を見ていましたから。けれど、石井ふく子さんプロデュースで、山田洋次さんが脚本ということで“すごくうれしい”と同時に、内心“ヤバいな”と(笑)。
ご本人を前に言うのもなんですが、山田洋次さんの現場は“非常に怖い”という話を聞いておりましたので、現場にいらっしゃるんだろうかと(笑)。オファーを断るという話ではなく、もちろん、やらせていただきたい。間違いなくやる。けれども、僕は臆病者ですから、怒られたらどうしよう、怖いなと(笑)。でもやるしかないというジレンマ(笑)。あわよくば、山田洋次さんが撮影現場に来ないといいなと思っていたのですが、結果、お越しになられました(笑)。撮影の前に、“顔合わせと本読み”にもいらしてくださったんですけど、顔合わせで「こいつじゃない!」って言われたらどうしよう。ひょっとしたら間違えかもしれない。「君が大泉くんかい?」「間違えた。クビだ」って言われたらどうしようとか、いろんなことを思ってました(笑)。本読みは、とんでもない緊張感で、そりゃ汗だくでしたよ。でも、あんなにも充実した本読みは経験したことがない。山田先生がその場で演出してくれるんですよ。興奮しましたね。なんて充実した本読みなんだろうって。終わった後、幸せな気持ちでした。母に電話して、「今ね、こういう現場をやってるんだよ」って報告したくらいです。ありがたいことに私も赤座家のような大変幸せな家庭に育ちましてね、両親とも仲がいいですし、兄貴とも仲がいいもんですから、「とっても嬉しい現場なんだよ」って話をしました。

◆宮﨑あおいさん
台本を読ませていただいて、もんちのことが大好きになりましたし、それが私の中で大切なことのひとつ。山田洋次さんの脚本に自分が参加するということで、楽しみもあり不安もあり、なんとも言葉にできない思いがありました。

撮影に入る前、何度か石井さんと清弘監督とお会いしてお話ししたのですが、私は石井さんのことが大好きになりました。私も家族と仲がいいのですが、母に会ったときに、「今ね、石井ふく子さんとご一緒しているんだけど、とても素敵な方でね」という話をして。母も石井さんのことを存じ上げているので、「すごい人なんだねえ」「いい出会いができてよかったね」って喜んでくれました。石井さんが「出会いは財産」だとおっしゃいましたが、私もそれを実感するとてもいい現場に参加させていただいたと思っています。

石井プロデューサーとは、30年ぶりとなるテレビドラマでのお仕事とのことですが、今回、新たに「あにいもうと」の脚本を執筆するにあたって、こだわった部分、前作と意識して変えた部分があればお聞かせください。

◆山田洋次さん
<写真08> 「あにいもうと」は室生犀星の不朽の名作。渥美清さんと倍賞千恵子さんでドラマ化した時には、ケンカが物語の中心でした。そして今回ドラマ化するにあたり、伊之助ともんちが、新たな人生を歩んでいくことができる結末を描きたいと思いました。伊之助は妹を愛するがあまり苦しむ。異性への愛を妹への愛にかぶせてしまっている。それは妹にしたら大きな負担で、時々腹立たしくなるんだけども、あるきっかけで解消する。それは、どこか未発達な部分を持った男がようやく一人前になって成長した姿。そうして、伊之助の人生を終結させられたらいいなと考えました。僕としてはうまくいったんじゃないかなと思います。僕はこの小説が大好きで何度も読んでいるのですが、兄の妹への過剰な愛情は『男はつらいよ』シリーズの原型とも言えますね。

印象深いセリフやシーンをお聞かせください。

◆大泉洋さん
<写真09> どのセリフも素晴らしくて、何でこんなにも血の通ったセリフが書けるんだろうと。
妹の恋人・小畑に、「俺がどれだけ妹を可愛がっていたかお前に話してやる」というシーンがありまして。妹とはケンカばかりしていて、兄として想いを伝えていないのに、妹を奪っていく恋人に愛情を語る。そこが泣けるというか素晴らしく愛おしい。そして、さんざんとっちめて「帰れっ!」て怒鳴ったあとに、道を教えるんですよ。なんともおかしく、素晴らしいなと。
あとは、あおいちゃんのお芝居が素晴らしい。伊之ともんちのケンカで、僕が箸を投げつけるシーンがあったのですが、あおいちゃんがアドリブで箸を投げ返してきて(笑)。結構な速さで返ってきましたね(笑)
<写真10>
(宮﨑さん)やられっぱなしで終わるのもなと(笑)。

投げ返されると思ってなかったからビックリしちゃって、素晴らしい女優だなと思いました。楽しいシーンになったと思います。要所にコメディが入っていて面白いんですよ。

◆宮﨑あおいさん
<写真11> 私は自分のセリフはもちろんですが、大賀さん演じる恋人・小畑さんのセリフが好きです。
小畑さんがお兄ちゃん(伊之助)言われた言葉を、私に話すシーンがあるのですが、その言葉から愛情を感じました。お兄ちゃんはもんちに優しい言葉をかけてくれないし、いつもケンカばかり。けれど、その裏にはこんなにも愛があったんだと。鬱陶しいけど、それがとても嬉しくて。それを実感できたのが小畑さんのセリフで、ひとつひとつを“素敵だな”と思いながら聞いていました。小畑さんの言葉が全部好きです。

大泉さん演じる伊之助は大工。監修の大工さんの手ほどきで道具の使い方を練習されたとのことですが、役作りに関してお聞かせください。

◆大泉洋さん
<写真12> ノミを使って仕事をするシーンがあるのですが、木を削ることを“はつる”というんです。最初は難しいなあと思っていたのですが、リズムを掴むと楽しくてカンカンカンと。調子にのって手元を見ずにやっていたら、手を打ってしまいました(笑)。清弘監督がとんできて、「今、打ちましたよね、大丈夫ですか?」「大丈夫です」って(笑)。調子に乗っちゃダメですね。

あと、休憩中にお弁当を囲むシーンがあるんです。「本当にみなさんでお弁当たべるんですか?」と大工さんに伺ったら、「食べますよ」と。奥さん、6つもお弁当を作っているそうです。いくつになってもお父さんや息子さんたちがみんなでお弁当を食べる。なんとも羨ましく思いましたね。物語の中では、シャーロット・ケイト・フォックスさん演じるパティが、「こんなに立派な技術をもっているのに、地べたに座ってお弁当を食べるんですか?レストランに行けばいいのに」って言うんですよ。伊之助は、「何言っているんだ、職人は…」と答えるんです。僕は大工さんの話を聞いて、レストランで食べるのもいいけど、みんなで輪になってお弁当を食べる、その家族像も素晴らしいなと。だいぶ話がそれましたが、そんな風に大工さんとお話ししながら役作りをしました。色んなお話を聞けて楽しかったです。

宮﨑さんは演じるもんちはトラックの運転手。この作品のために大型自動車運転免許を取得されたとのことですが、役作りで心がけたことはありますか?

◆宮﨑あおいさん
<写真13> 免許を取りたいと思っています、と石井プロデューサーと清弘監督に相談しました。大型トラックの運転席に座ったこともないですし、あの高さを知っているもんちという女性はどんな人物なのか知りたくて。撮影に入る1か月くらい前から教習所へ通ったのですが、もんちという女性が私の中で動き始める大切な時間でした。
また、もんちという女性はとても行動的な印象だったので、髪の毛を切りたいと相談しました。そうやって話し合いながらひとりの女性を作っていけたという感覚があり、準備も含めて楽しい時間でした。

大泉さんと宮﨑さんは、テレビドラマでは初共演とのことですが、共演された感想をお聞かせください。

◆大泉洋さん
<写真14> 妹役が宮﨑あおいさんと聞いて感激しましたね。うれしかったです。しかも、この妹というのがトラック運転手で、下町の荒い性格。いつも兄と大ゲンカしていて、「やい、伊之!よくもやってくれたな」という感じで口調も荒い。そんな姿、あおいちゃんから想像がつきませんよね。この役をあおいちゃんが演じるというのは、実に面白い!見たい!と思いました。共演してみて、先ほどもお話ししましたが、アドリブで箸を投げ返すようなお芝居をされていましたから……おそらく視聴者のみなさんも、今まで見たことのない宮﨑あおいが見られると思います。

<写真15> あとは、物語の後半にはお兄ちゃんに想いを語るシーンがあるんです。そこは荒々しく熱いものを持っているもんちの中に、宮﨑さんの持っている優しさや可愛らしさが出ていて、改めて素晴らしい方だなと思いました。

◆宮﨑あおいさん
<写真16> 台本の中にあるユーモアを大泉さんが言葉にすると余計に面白くなるんです。家族のシーンでは、妹役の瀧本美織さんやお母さん役の波乃久里子さんがずっと笑っていました。大泉さんがいると現場が明るくなりますね。あと、ちょっとせっかちですか?
(大泉さん)そうですか?
あまり無駄がないというか……。
(大泉さん)ま、そうですね。せっかち、かもしれないですね。段取りが良い方がうれしい。
私も無駄がない方がうれしくて。大泉さんは色んなことをパパッと決められる。現場も盛り上げられるし、キュッと締めることもできる素敵な方だと思いました。

最後に『あにいもうと』のみどころをお聞かせください。

◆大泉洋さん
真正面から家族に向き合うお話です。『あにいもうと』というタイトルからも存分に家族の愛を感じると思います。コミカルなシーンがふんだんに盛り込まれているので、ゲラゲラと笑いながら、気づいたら涙が出ているような、ずっと抱きしめて過ごしたい愛おしいドラマです。見てよかったと思っていただける、会っていない家族に連絡したくなるようなドラマだと思います。この機会にぜひご覧ください。

◆宮﨑あおいさん
大きな愛に溢れたひとつの家族の物語です。家族の在り方を考えるきっかけにもなる作品だと思います。ぜひご家族揃って楽しんでいただけるとうれしいです。 <写真17>

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