TBS年末スペシャルドラマ『赤めだか』

2015年12月28日放送決定!

二宮和也×ビートたけし 対談

撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

二宮 : タカハタ監督の撮影スタイルが新鮮で、どこを撮っていても楽しかったです。基本的に役者さんが揃ったら本番なので (テストをせずに即本番)、早めに現場に入って復唱している人もいれば、ギリギリになって入ってくる人もいて、それぞれのペースで、みんなで作っている感じがして、新鮮で楽しかったです。

たけし : 俺なんかレギュラーが8本も9本もあって、その間に台本を覚えるのに必死だったし、さらに落語をやらなきゃいけないんで苦労したね。談志さん的なセリフの表現が難しくて難しくて 「全部確認してくれ」 って言ったら、カンペ書いてくれるようになって (笑)。でもあるとき 「…」 って書いてあって、「なんだこの 『…』 っていうのは」 って (笑)。「いくらなんでもカンペでそれはいらないよ、きっかけだけくれよ」 ってすごい恥ずかしい思いをしたね (笑)

物語の中には、実際にあったエピソードが描かれているそうですが、好きなエピソードはありますか?

たけし : 笑っちゃうのが…… ダンカンが 「たけし師匠のところに行きたい」 って言って、「ビートたけしか?」 って俺が言うっていうシーンね。なんか、酒を持っていけばあいつなら断らねえだろうという感じで 「俺、酒で動くのか?」 って、情けねえネタだなあって思ったよ。

二宮 : 本当に談志さんはダンカンさんにお酒を渡したんですか?ドラマはそういうシーンがありましたよね。

たけし : ダンカンがウイスキーと談志さんの名刺持って待ってて、「談志のところから来ました、今日から弟子入りさせてください!」 って来たんだよ。「おいおい」 と思ったけど、「ちょっと待てよ…… ま、いいや」 つって (笑)。あの頃、ラジオもやってて、弟子入りしたい人が200人くらいラジオ局の前にいたからね。ダンカンはその隙にバッて入ってきたから、みんな怒ってただろうなあ。

あとは、(放送作家の) 高田文夫をがラサール石井が演じてるでしょ。「(高田) ダンカンさたけちゃんに “ふんころがし” って名前付けてたよ」 「(談志) しょーがねえなあ、あの野郎」 って会話があってさ、自分で笑っちゃったよね。しょうがねえなあって言ったのが談志を演じている俺だから、「よくわかんねえなあ、これ照れちゃうなあ」 って思ったね。それとさ、台本を読んで一番心配したのが、まさか俺自身が出てこないだろうなってことだね。俺のモノマネのビトタケシとか、ニートたけしとか、あいつらが出てきて 「ダンカンバカヤロー」 とかいったらどうしようかと思ったけど…… さすがに出てこなくて良かったな (笑)

『赤めだか』 で描かれるのは立川流一派が主ですが、当時の演芸界も垣間見える時代で、そこも見どころとなっていますね

たけし : 落語家も芸人もほとんど同じだよね。俺の師匠は浅草のダンサーですごいマニアックで一番うまいっていわれた人なんだけどね。例えば鮨屋行って、「おいタケ、好きなもん食べろよ」 って言われて 「ゲソください」 って言うと、ぶん殴られたからね。「恥ずかしいじゃねえかばかやろう、俺が恥ずかしいよ」 って。「お前がトロつって俺がゲソっていって笑わせるんだよ」 って言うような人だから。帰るときに、俺がツケでチップを払っていくんだけど、チップがすし代より高いからね。座敷なんかにあがると、帰るときに店員さんが並んで、「ありがとうございました。師匠ご馳走様」 てお辞儀されてさ、「おいタケ、靴!」 って言われて、普通に師匠の靴を出すと怒るんだよね。なんで俺の靴を出したって。あそこにピンクのハイヒールあっただろ、それを出せって。「それを俺が履いてな 『おい、高いな随分』 って、俺はそれをやりたいんだ。おめえセンスねえよ」 と言われた。あとは、フランス座に入った瞬間にエレベーター台でタップを教えてもらってさ。毎週新しいステップやらせられた。それが何かの助けになるわけじゃないんだけど、そのとき教わったリズムなんかは今に影響してると思うんだよね。そんな馬鹿なことばっかりやってる人だったけど、師匠に鍛え上げられるってそういうことかなって思うね。談志さんには談志さんの鍛え方があって、うちの師匠・深見千三郎さんていうのはそういうタイプ。だから談志さんの役をやってみて、やっぱりこの人落語が好きだったなあって思った。落語が好きで好きでとにかく落語を広めて、自分がトップなんだというのを見せたいんだけど、世間がついてこないんでイライラしている感じは生きているときからあったよ。よく上岡龍太郎さんとかみんなで落語論やったりしてたけど、談志さんはイライラしてたなあ。古今亭志ん朝と立川談志さん、エリートとの対比は相当イラついたんじゃないかな。志ん朝のファンのほうが世間的には多いけど、圧倒的に自分のほうが強いということを社会が認めてくんねえという。イラついてたと思うな。

二宮 : (たけしさんの) こういう話って、一緒の現場でこのくらいの距離感にいないと絶対に聞けない話ですよね。そういう話を僕だけじゃなく、ほかの共演者がいる中で話してくれるんです。だから今のタップの話もそうで、撮影の合間や待っている間もたけしさんはタップを踏んでいて、弟子役のみんなで 「なんでタップやってるんだろうね」 って話をしていたんですけど…… 今の話を聞いて繋がったというか 「ああ、そういうことなのか!」 と思いました。普通じゃ聞けない話が本当に多いので、ただただお話させてもらうだけで嬉しかったし楽しかったです。

破天荒な立川談志という稀代の落語家を、弟子の立川談春の目線で描いた 『赤めだか』、演じるお二人の熱い想いがひしひしと伝わってきます。
12月28日、芸事に邁進する生き様をどうぞご覧ください!

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