美肌LESSON

Vol.5
美肌のために『糖化ストレス』に打ち勝つ! ~その1~

前回の美肌LESSONでは、老化の2大要因とも言われる『酸化(さんか)』と『糖化(とうか)』と呼ばれる現象の中でも『酸化ストレス』から皮膚を守って美肌を保つ方法をお話しました。今回は、『糖化』という現象とその対策について2回にわたってお話します。

私たちが食事から摂取した糖は、細胞が活動するための重要なエネルギー源として欠かすことはできません。血液の中には糖が『血糖』として常に存在しなければなりませんが、この血糖の一部がタンパク質や脂質と複雑な反応をして糖化という現象を引き起こします。糖化によってできる物質をAGE(Advanced Glycation End-pruducts)呼び、この物質の毒性がさまざまな老化現象を引き起こしてしまいます。

糖化によって生まれるAGEは動脈硬化や骨粗鬆症、アルツハイマー病、癌などを引き起こすリスクを上昇させ、寿命を短縮させる可能性があることがわかってきています。もちろんAGEは皮膚でも老化現象を引き起こします。

皮膚の真皮にはコラーゲンやエラスチンが豊富に含まれ、皮膚の弾力はハリを保っています。AGEは真皮のコラーゲンなどの質を悪くしてしまい、弾力性が失われてシワやたるみを引き起こしてしまいます。また、表皮のケラチンのAGE化はクスミの原因ともなります。
美肌を維持するためにはいかに糖化ストレスから肌を守るかが大切です。

糖化ストレスから肌を守るには次の2つを意識します。

体内でAGEを発生させない
AGEを多く含む食事をとらない

血糖値の高い状態(高血糖)では、体内で糖化を起こしやすくなり、よりAGEが産生されてしまいます。そのため、なるべく急激に血糖値を上げないようにする必要があります。今回は①の体内でAGEを発生させないためのポイントを挙げてみます。

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糖質を控えた食事をとる
最近では糖質制限食が、慢性的に血糖値が高い糖尿病という病気の治療にも使われるようになり、高い効果をあげています。血糖値の急激な上昇も少なくなりますし、体重の減量効果も期待できます。

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野菜を食事の最初に食べる
食事の際には食べ始める順番も意識しましょう。食事の最初に野菜やキノコなどを食べて食物繊維をとることで、食後の血糖値の急激な上昇を抑えることができます。

よく噛んで食べる
早食いは満腹感を感じ始めるまでに食べる量が増えてしまいます。一度にたくさんの量を食べる「どか食い」につながりやすくなり、食後の血糖値も上がりやすくなります。「ゆっくり、よく噛んで」食べることで、食欲を抑制するヒスタミンが脳内で増え、満腹感を得られやすくなります。

ストレスをためない
ストレスを感じている状況では、体内から血糖値を上昇させるホルモンの分泌量が増えてしまいます。自分なりのストレス解消法を見つけておくことが大切です。

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第1話でみやび先生は『糖質制限中』であることを告白していました。みやび先生の自宅の冷蔵庫にもお手製の糖質制限食がタッパーに用意されていましたが、気づきましたか?スリムなみやび先生はダイエットのためというよりも、「美肌のため」に糖質制限を実践していたのですね。

医療監修・橋本 聡
東京・広尾の美容皮膚科『スキンリファインクリニック広尾』院長。
専門は美容皮膚科、皮膚科、美容外科。日本美容外科学会認定、美容外科専門医。
日本医科大学卒業後、日本医科大学形成外科助教を経て、平成26年にスキンリファインクリニック広尾を開業。

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