医師の家系に育ち、自分も医学部に進んだ六郎ですが、本当は何をやりたいのか、何を目指しているのか分からなくなっています。アルバイトでUDIラボに来て、法医学に対するミコトの考え方とか、その行動力に刺激を受けていく。そんなふうに進むべき道に迷ったり、身近な人の影響を受けることって誰にでもあると思うんです。そんな六郎の普通の感覚や、法医学の人たちとの関係性を大切にしています。
監督から「三枚目の方向には行かないで、あくまで自然なツッコミをしてほしい」と言われているので、前に出過ぎたり出なさ過ぎることのないよう、ちょうどいいさじ加減を狙っています。
それと、六郎にはもう一つの顔があって、週刊誌の人たちともつながっています。その辺も徐々に明らかになっていくので、注目してご覧ください。
医療ものは初めてですし、『Nのために』のチームとまたご一緒できるということで、どんな法医学ミステリーになるだろうとワクワクしながら撮影に入りました。法医学は難しそうというイメージもありましたが、野木さんが描かれる登場人物の日常や会話が本当に面白くて、僕としては群像劇とか人間ドラマという感覚が大きいです。視聴者の皆さんも、誰かに感情移入して見ていくうちに、法医学とは何か、この人たちは何を求めているのかということが自然に感じられるんじゃないでしょうか。
撮影をしていて思うのが、「死」というものは本当にすぐそこにあるのかもしれないということ。だからといって、生きている間に何をしようというわけではありませんが、今を楽しむとか、今を大切に生きることがその先につながっていくんだということを改めて強く感じています。
さとみさんとは初めてご一緒しましたが、お芝居というものを常に近くに置いている方という印象です。台本に書かれたものをどうしたらリアルに表現できるか、ミコトを通して法医学をどう伝えられるか、そういうことを常に考えていて。集中力が本当にすごいです。
新さんは、演じている中堂とはかけ離れていて、こんなに謙虚な大人の方に僕は初めてお会いしました。中堂と六郎の二人芝居の時に、アウトローなだけではない中堂の優しさを、いつも新さんと重ね合わせて感じています。
実日子さんは、映像になった時に特有のフィルターがかかるというか、他の人には絶対に出せないカラーを持っていると思うんです。そこが不思議なところであり、魅力ですよね。現場ではとても大きな癒やしのパワーを持った存在です。
松重さんは「さすがです」としか言えません。役の柔和でおっちょこちょいな部分と、所長としての威厳、その両方の見せ方のバランスがすごいです。
六郎は一番の新入りで、UDIの方たちから影響を受ける立場ですが、僕自身もそんな皆さんの芝居にすごく感化されています。それは自分の芝居の浅さを自覚する連続でもあって、正直めちゃくちゃ悔しいんですよ(笑)。でも、そういう皆さんと一緒にいる時間がすごくいいなと思う毎日です。