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サウジアラビア・リヤド第45回世界遺産委員会リポート

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9月16日(土) サウジアラビア・リヤド世界遺産委員会リポート 第三回

・新しい2つの世界遺産が誕生

 サウジアラビアの首都リヤドで開かれている世界遺産委員会。今日から、新しい世界遺産を決める審議が始まりました。昨年の世界遺産委員会がロシアのウクライナ侵攻で延期になったため、2022年分と2023年分、二年分の候補を審議するため、例年よりも長く審議日程が取られています。

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サウジアラビアの首都リヤドで開催されている世界遺産委員会

 この日の審議では、2つの新しい自然遺産が誕生しました。
 ひとつがコンゴ共和国の「オザラ・コクアの森林山塊」。絶滅危惧種のニシゴリラなど、貴重な動物たちの宝庫で、特に森にすむゾウ=マルミミゾウの中央アフリカにおける最も重要な生息地にひとつとされます。

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オザラ・コクアの世界遺産登録が決まり感謝を述べるコンゴ共和国の代表団

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オザラ・コクアのニシゴリラ

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オザラ・コクアのゾウ

 もうひとつが、カリブ海のフランス領マルティニーク島の火山。世界遺産としての名称は「プレー山の火山と森、マルティニーク島北部の火山群」。プレー山は世界で最も活発な火山のひとつといわれ、20世紀初頭の大噴火は火山学の歴史に残る出来事とされます。またマルティニーク島にしか生息しない貴重な鳥、マルチニクムクドリモドキの存在も評価されました。世界遺産が決まって、フランス代表団はがっちりと握手

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マルティニーク島の世界遺産登録が決まって喜ぶフランス代表団

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世界遺産になったマルティニーク島のプレー山

・2つの世界遺産が拡大

 さらにすでに自然遺産になっている2つが、拡大して再登録されることが決まりました。
 ひとつがマダガスカルの「ツィンギ・デ・ベマラハ厳正自然保護区」に、島の西部の乾燥林などを加えたもので、新たな世界遺産名は「アンドレファナの乾燥林」になりました。また拡張登録に伴い、マダガスカルだけに生息するメシトルニス目の鳥など、生物多様性も登録理由として加えられました。

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2017年7月9日放送・ツィンギ・ド・ベマラハ厳正自然保護区

 もうひとつが、ベトナムの「ハロン湾」です。従来の世界遺産エリアを拡大し、湾に浮かぶカットバ諸島も含むことになりました。新しい世界遺産名は「ハロン湾・カットバ諸島」です。カットバ諸島には、固有種の猿・カットバラングールやカットバ トラヤモリなどの絶滅危惧種が生息していて、これも世界遺産の登録理由に加えられました。拡大登録が決まった瞬間、アオザイを来た女性メンバーをはじめ、ベトナム代表団は国旗をバックに大喜びしていました。

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ハロン湾の拡大登録が決まって喜ぶベトナム代表団

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ハロン湾

明日以降も、世界遺産の新規登録の審議が続きます。

「世界遺産」プロデューサー 堤 慶太

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