特集

2023年11月12日放送「大秘境スペシャル」

最も取材が困難だった「秘境」世界遺産とは?

番組では28年にわたって世界各地を飛び回り、さまざまな世界遺産をカメラに収めてきました。その中には、外部の人間がほとんど足を踏み入れたことがなく、一般によく知られてない「秘境」と呼ばれる場所も数多くありました。そんな「秘境の世界遺産」を、独自調査によるランキング形式でご紹介するのが、今回の「大秘境スペシャル」です。この特別企画を担当した小澤ディレクターに話を聞きました。

番組の独自調査による秘境の世界遺産ランキング

今回は、番組独自のさまざまな指標で「秘境の世界遺産」をランキング。簡単には行くことのできない世界遺産トップ8をお見せします。

──「大秘境スペシャル」ということですが、どのようにして選ばれた世界遺産なのでしょうか?

小澤ディレクター(以下、小澤):「許可の難しさ」、「人跡未踏度合」、「到達にかかった時間」、「困難度」という4つの指標をディレクターへの聞き取りを行なったり過去の資料を調べ直したりして集計し、ランキング形式で上位8つの世界遺産をご紹介します。結果としてその内、半分の4つが私の担当したものでした。

──確かに、このウェブインタビューでも小澤ディレクター担当の世界遺産は、辿り着くのが大変な場所が多い印象です。番組スタッフの中でも取材チームを「小澤探検隊」と呼んでいたりするそうですね。

小澤:自分で言い始めたわけではないのですが、十数年ほど前に取材で5000m超のアフリカの山々を制覇したりした頃から、「隊長」などと呼ばれるようになってきました(笑)。

番組では、簡単には取材に行くことができない「秘境」にある世界遺産を数多く取材してきました。

──もはやほぼ冒険家ですね。今回のスペシャルの中で、小澤隊長が取材した4つの世界遺産について教えてください。

小澤:「パーヌルル国立公園」、「ブラジルの大西洋の島々」、「トゥルカナ湖国立公園群」、「リオアビセオ国立公園」です。「パーヌルル国立公園」は、縞模様の岩山の不思議な景観を持つ世界遺産です。雨季は増水で道が閉ざされているので、乾季を狙っていきました。それでも砂の道に車がスタックしたりして大変でした。まあ、秘境への道のりの途中で車がスタックするのはお約束でもあります。国立公園内は、車が入れませんのでそこからは徒歩で進んで取材しました。

乾季にしか訪れることができない「パーヌルル国立公園」。「ビーハイブ(ハチの巣)」と呼ばれる縞模様の岩山の不思議な景観が見られます。

──さすが秘境。道なき道を進むといった感じですね。

小澤:道はおろか、そもそも人が入ることが禁じられている場所もあります。「ブラジルの大西洋の島々」は、大西洋ブラジル沖にある島の自然遺産です。その一部のロカス環礁は自然保護のために普段は立ち入りが禁止されています。4ヶ月待ってやっと許可が下りました。リング状の島であるロカス環礁の内側には、波が穏やかな青い水の浅瀬があり、まるでプールのようでした。水中には熱帯の魚、陸にはこの島を繁殖地とする海鳥などの生き物が集まっていて、まさに手つかずの自然の楽園です。

──そんな秘境で宿泊はどうしたのですか?

小澤:島には研究者用の宿泊施設があり、そこにお邪魔して寝泊まりしました。でも高床式の小屋なので、夜中になっても真下で鳥たちが鳴いていてなかなか寝付けませんでした。

──それは大変でしたね。鳥には文句は言えませんからね。

小澤:ただ、その施設の食事がめちゃくちゃ美味しかったんです。大皿に料理が盛り付けられたビュッフェ方式なんですが、見た目もきれいで味もレストランのような美味しさでした。聞けば料理人として来ていた人が元ホテルのシェフということで、なるほどと合点がいきました。

──秘境でそんな美味しい出会いもあるのですね。

「ブラジルの大西洋の島々」のロカス環礁は、通常は立ち入り禁止の島です。当然ホテルなどはなく、研究者用の宿泊施設に寝泊まりして取材をしました。

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