特集

2023年10月8日放送「メンフィスとその墓地遺跡」

新発見!驚きの地下遺跡

身を屈めながら墓地遺跡の地下の狭い通路を通り抜けると、そこには4000年以上前に作られた驚きの空間がありました。

──「メンフィスとその墓地遺跡」のギザ以外の場所にはどのような遺跡があるのでしょうか?

田口:ギザのほかに番組で紹介するのは、メンフィスのすぐ西にあるサッカラの墓地遺跡です。サッカラは、都であったメンフィスに近かったということもあって、重要な墓地遺跡が多くあります。近年、発掘調査が進み、大きな発見が次々とニュースになっているスポットなのです。

──そんなサッカラではどのような遺跡が見られるのでしょうか?

田口:ここで注目していただきたいのは、2019年に発見された地下墓所。一般の人には立ち入り禁止のエリアの砂漠に、その墓所は埋もれています。小さな入り口から狭い通路を通り抜けると、色鮮やかな壁画で囲まれた空間がありました。壁画は4300年も前のものにも関わらず非常に状態がよく、まるでつい最近描かれたかのようでした。壁画には墓の主の名前がヒエログリフで書かれていて、はっきりと読むことができるのです。

近年新発見された墓所遺跡の地下にあった、色鮮やかな壁画。壁画には、墓の主の名前もヒエログリフで書かれています。

──4300年前の壁画が綺麗に残っているとは驚きです。

田口:この遺跡では、墓の主のミイラも発見されました。太ももに巻かれた布の下に体が残っているのですが、古王国時代のミイラがこのような状態で見つかるのは非常に珍しいのです。

──さすが注目の発掘スポットだけあって、貴重な遺跡や発見品が続々と登場しますね。

田口:サッカラでもう一つ注目なのは、ジェセル王のピラミッドです。6段の階段状になったピラミッドはエジプトで最も古いもので、このピラミッドが原型となって、後に三大ピラミッドのような四角錐のものができたのです。内部の地下通路は、盗掘対策のために迷路のようになっています。「迷子になったら本当に戻れないな」と思いながら進んでいくと、やがて大きな空間に出ました。地下28mにあるその空間には、墓の主であるジェセル王の石棺が置かれています。この棺は高さ3mもあり、世界最大の石棺と言われています。

ジェセル王のピラミッド。エジプト最古のピラミッドで、この階段状の形が三大ピラミッドの四角錐の原型となりました。

──ジェセル王は、きっと絶大な権力を持つ王だったのでしょうね。

田口:ピラミッドは単なる墓でなく、生前から権威を誇示するためのものでもあったと考えられています。番組では、王がその力を示すためにピラミッド前の広場で行った儀式の話も紹介します。

ジェセル王のピラミッドの地下には、世界最大と言われる巨大石棺があります。

──巨大ピラミッドを最初に作った王のお話、楽しみです。最後に視聴者にメッセージをお願いします。

田口:今回は番組として久しぶりのピラミッドの取材ということで、貴重な映像を残すためにも、ピラミッドはもちろん、その周囲にある神殿や石造りの参道などもたっぷり撮影してきました。1時間スペシャルが作れるほどの量が撮れたので、30分の番組に編集するのがもったいないぐらいでした。厳選した素晴らしい数々の高精細映像をぜひお楽しみください。

ピラミッドやその周辺の施設、その内部などをたっぷり撮影。その大量の映像の中から選りすぐった素晴らしいシーンの数々をお楽しみください。

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