特集

2022年11月13日放送「古都奈良の文化財」

知られざる東大寺に迫る 四季折々の絶景

世界遺産「古都奈良の文化財」の構成資産の1つ、東大寺。その東大寺のさまざまなシーンを、去年の秋から今年の夏まで長期にわたって最新の高精細4Kと8Kカメラで撮影してきました。取材を担当した中田ディレクターと田口ディレクターに話を聞きました。

紅葉から桜、夏の風物詩まで 四季の東大寺

“奈良の大仏”として知られる盧舎那仏を本尊とする東大寺。その四季の美しい景色をお届けします。

──今回の「古都奈良の文化財」は、観光や修学旅行などで訪れたことがあるという人が多そうな世界遺産ですね。

中田ディレクター(以下、中田):そうですね。今回の番組では「古都奈良の文化財」の中でも特に有名な東大寺にスポットを当てています。およそ1年に渡る長期取材で四季折々の景色や知られざる場所など、さまざまな映像をカメラに収めました。

──1年というと去年の秋ごろから取材を始めたということでしょうか?

中田:はい、番組では昨年秋に撮影した紅葉をお見せします。葉がちょうどよく色づく時期は限られたタイミングでしたが、天候にも恵まれ、東大寺だけでなく近くの春日山、春日大社、奈良公園などの美しい景色を撮影できました。特におすすめなのは、奈良公園を流れる吉城川沿いのシーンです。紅葉と鹿を一緒に収めましたので、ぜひご覧ください。

東大寺の取材は秋から始めました。紅葉が映える東大寺とその周辺の美しい景色をお届けします。

──紅葉と鹿とは絵画のような組み合わせですね。秋の次、冬はどんな景色が見られるのでしょうか?

田口ディレクター(以下、田口):奈良の冬の風物詩である「若草山焼き」を取り上げていて、その撮影は私が担当しました。毎年1月、東大寺と隣接する興福寺の僧侶と春日大社の神職が集い、夕方に若草山に火を放ちます。新たな春を迎える前に、一年の厄を落とし、世界の人々の平和への祈りをこめて、山を焼くのです。この山焼きの火を背景にした夜の大仏殿のシルエットは絶景で必見です。

冬の奈良の風物詩「若草山焼き」。炎を背景に大仏殿の影が浮かび上がるダイナミックな景色を見ることができます。

──ダイナミックな山焼きの映像が楽しみです。次は春ですね。

田口:春はやはり桜で、紅葉と同じくタイミングが難しい撮影でした。東大寺の桜と言えば中門脇に立つエドヒガンの木がよく知られていますが、今回は大仏殿西廻廊沿いに並ぶ紅枝垂れとソメイヨシノも撮影しました。この西廻廊は一般の参拝順路ではなく、今回の取材を始めた秋の頃から「春になったら撮影しよう」と狙っていたポイントでした。廻廊から桜越しに大仏殿を望んだ知られざる絶景をお楽しみください。

大仏殿西廻廊沿いに並ぶ紅枝垂れとソメイヨシノ。めったに見ることができない、東大寺の桜の絶景です。

──なかなか見られない特別な桜の映像ですね。夏はどのような撮影でしたか?

中田: 8月に行われた「お身拭い」と呼ばれる行事をご紹介します。東大寺の僧侶や職員など約130名が白装束で、大仏の掃除をするのです。人力で吊り上げられたゴンドラに乗るなどして、すみずみまで溜まった埃を落とします。本来は毎年夏に行っている「お身拭い」ですが、新型コロナの影響で昨年と一昨年は中止になり、今年の夏が3年ぶりとなりました。コロナ禍以降、東大寺では日本と世界の平和を毎日大仏に祈り続けてきました。その大仏への感謝を込めて汚れを落していると思うと、拭っている東大寺の皆さんも心なしか力が入っているように感じられるシーンでした。

今年の夏は3年ぶりに、大仏に溜まったほこりを落とす「お身拭い」が行われました。

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