特集

2022年8月21日放送「セレンゲティ国立公園」

サバンナに生きる300万頭の動物たち

タンザニアの自然遺産「セレンゲティ国立公園」。300万頭もの野生動物が広大なサバンナを闊歩する大自然です。番組では、そこに生息するヌーやカバ、ゾウ、ライオン、チーターといった動物の野生の姿に迫ります。番組を担当した小澤ディレクターに話を聞きました。

150万頭のヌーが草を求めて大移動

ヌーは、セレンゲティ国立公園の中で最も数が多い草食動物で、150万頭も生息しています。食べ物となる草を求めて大移動するヌーの群れを追いました。

──「セレンゲティ国立公園」とは、どんな世界遺産ですか。

小澤ディレクター(以下、小澤):タンザニア北西部にある国立公園で、面積は四国ほどになります。その大自然の美しさと生物の多様性が認められ、1981年に自然遺産に登録されました。その最大の特徴は、国立公園内に生息する300万頭もの野生動物です。今回は現地と綿密に連絡を取って、タンザニアのカメラマンが撮影した映像を送ってもらいました。

セレンゲティ国立公園は、タンザニア北西部に位置し、数多くの野生動物が生息する広大なエリアです。

──具体的には、どんな種類の動物が見られるのでしょうか。

小澤:セレンゲティ国立公園の野生動物のうち、3分の2を草食動物が占めています。ゾウやキリンなどもいますが、セレンゲティを代表する草食動物が、ウシ科のヌーです。セレンゲティ国立公園には150万頭ものヌーが生息しています。

セレンゲティ国立公園で最も多く生息している草食動物であるヌー。新鮮な草を求めて群れで大移動をします。

──300万頭のうち、ヌーだけで150万頭とは驚きです。

小澤:ヌーは1000頭ほどの群れを作ります。乾季はセレンゲティの北部へ、雨季は南部へ、新鮮な草を求めて年間3000kmも群れで移動するのです。そもそもセレンゲティ国立公園のエリアは、このヌーの移動範囲に合わせて決められました。今回はその大移動するヌーの姿に迫っています。ヌーの群れが流れるようにして進む様子を空撮で捉えた映像は必見です。

──空撮だから見ることができる、ヌーの大群のダイナミックな動きが楽しみです。

小澤:空から見ると、ところどころにヌーの群れが縁取るように水場に集まっているのがわかります。地上から撮影した、水場に集まって水を飲むヌーの様子もご覧ください。あと注目していただきたいのが、ヌーが川を渡るシーンです。群れから遅れた一頭のヌーを巨大なワニが襲い、水の中に引きずり込もうとします。ヌーはなんとか逃れますが、深い傷を負ってしまいます。

大移動するヌーにはさまざまな危険が迫ります。特にケガなどをして群れから遅れた個体は、川を渡る際にワニの標的となります。

──サバンナを3000kmも移動するとなるとやはり危険も多いのですね。

小澤:セレンゲティにはライオンやチーター、ハイエナなどといった肉食動物も生息しています。サバンナで移動中、死んだヌーを食べるブチハイエナに出会いました。おそらくライオンやチーターに仕留められたのでしょう。その食べ残しをハイエナやハゲワシが食い尽くすのです。狩りにあったヌーの亡骸にブチハイエナがかじり付く様子も撮影することができました。こうしたサバンナの食物連鎖、“命の環”を感じていただける映像も番組ではお届けします。

セレンゲティには、ハイエナやチーター、ライオンなどの肉食動物も生息しています。

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