特集

2022年1月9日放送 放送25周年スペシャル 4K8K特別編「富士山の四季」

8Kカメラでとらえた信仰と芸術の源泉

富士山は昔から信仰や芸術の対象となってきました。人々の心をとらえ続けてきた富士山の特別な映像をお届けします。

地上波放送のため4Kと8Kで撮影した映像をフルハイビジョンに変換して放送しますが、映像の美しさは楽しめます。

──秋、冬、春ときましたが、夏にはどんな富士山を撮影しましたか?

三浦:夏には富士山山頂を、特別なカメラスタビライザーを搭載したヘリと8Kカメラの組み合わせで揺れが少ない安定した高精細映像を撮りました。笠雲の説明でお話ししたように、富士山山頂は強い風がうねるように吹いています。風が比較的落ち着いている夏でもヘリで空撮するのも大変で、突風が吹いて10キロ以上も流されることもあると聞き、緊張しながら撮影しました。

ヘリから8Kカメラで撮影した富士山山頂。山頂付近は強風が吹くため、ヘリからの撮影は難しく、貴重な映像です。

──山頂の撮影にもそんな苦労があるとは驚きです。

三浦:そのほかに夏には、実際に富士山に登っての撮影を行いました。宝永火口という南東斜面中腹にある、富士山最大の火口です。この火口の下の部分にある盛り上がった土は、江戸時代に16日間も続いた噴火で積み重なったものだそうです。

富士山最大の噴火口、宝永火口。江戸時代には16日間も噴火し続け、火山灰は江戸の町まで降り注ぎました。

──富士山の噴火の痕跡が確認できる地形なのですね。

三浦:溶岩が作った地形は、湖の水中にもあります。富士五湖の1つ、本栖湖の水中を撮影しました。本栖湖は高い透明度を誇る湖なのですが、潜ってみると面白い光景があるのです。湖に流れ込んだ溶岩がそのままの形で固まって残っています。また、湖の底には地下水が湧き出る大きな穴があります。1万8千年前の溶岩流を地下水が削り取ったものということです。この穴では、湖の水と湧水の温度差による水の揺らぎを8Kカメラで映像に収めました。

湖に流れ込んだ溶岩や地下水が湧き出る大きな穴などがある本栖湖の湖底。8Kカメラで湖水と湧水の水温の違いによる水の揺らぎをとらえました。

──富士山が生んだダイナミックな自然が感じられそうな映像ですね。

三浦:実は世界遺産の富士山は、自然遺産でなく文化遺産「富士山 – 信仰と芸術の源泉」として登録されています。忍野八海など、富士講という富士山を対象とした信仰の巡礼地なのです。その富士講の人々が富士登山の前に泊まった宿「旧外川家御師住宅」も世界遺産の一部です。また万葉集の時代からその美しさを謳われ、浮世絵の題材にもなっている三保松原の景色もお届けします。

──見所いっぱいの富士山の貴重な映像を楽しめる放送が楽しみです。最後に視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。

三浦:お話ししたとおり、普通は撮影が難しい富士山のいろいろな景色をおよそ1年かけることで高精細な映像に収めることができました。もう1本番組が作れるんじゃないかと思えるぐらい豊富な映像から、その中でも特別なシーンばかりを選りすぐりました。神秘的で美しい富士山の絶景をたっぷりご覧ください。

信仰と芸術の源泉であることが評価されて文化遺産に登録された富士山。人々を魅了し続ける富士山のさまざまなシーンをお届けします。

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