特集

2021年8月22日 奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島「西表島と沖縄島北部」編

独自の進化を遂げた西表島とやんばるの生き物たち

2021年7月、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が日本で5番目の自然遺産に登録されました。番組では「西表島と沖縄島北部」編と「奄美大島と徳之島」編にわけて2週連続でたっぷりとこの新しい世界遺産を紹介します。まずは「西表島と沖縄島北部」編を担当したJNN系列の沖縄・琉球放送の伊良波ディレクターに話を聞きました。

多様な生物を育む琉球列島の島々

新しく世界遺産に登録された「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」。そこは、ほかでは見られない希少な動物が生息する島々なのです。

──「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が新しく自然遺産に登録されました。どういった世界遺産なのでしょうか?

伊良波ディレクター(以下、伊良波):九州から台湾にかけて弓状に連なる琉球列島の一部で、多くの絶滅危惧種を含む、ここにしかいない生物が生息しているという「生物多様性」が認められて自然遺産になりました。最初に世界遺産登録を目指した2018年は「登録延期」という評価で、再挑戦しようとした昨年2020年は新しい世界遺産を決める国際会議・世界遺産委員会自体がコロナ禍で延期。それが今年、やっと登録されました。

──紆余曲折を経ての登録ということですが、取材にはいつごろから始めたのでしょうか?

伊良波:私は「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の中の、西表島と「やんばる」とよばれる沖縄島北部を取り上げる前編を担当しました。世界遺産への登録が現実味を帯びてきた昨年の春から取材に取り掛かり、コロナの影響で断続的になりましたが先月まで撮影を繰り返してきました。

「やんばる」と呼ばれる沖縄島北部。その山岳部を中心とした森が世界遺産の一部に登録されました。

──結果として1年以上にわたる取材になったということですね。

伊良波:そうですね。コロナ禍で思うような取材ができず、もどかしく感じることもあった1年余りでした。

台湾のおよそ200km東に位置する西表島。島の9割が森林地帯というジャングルの島です。

──放送ではどういった映像をみることができるのでしょうか?

伊良波:登録理由である「生物多様性」を象徴するような、希少な動物たちを紹介しています。まず、「イリオモテヤマネコ」です。西表島に推定で100頭ほどしか生息していない、絶滅の危機に瀕している希少なヤマネコです。主にマングローブの近くの湿地帯などで生息しています。非常に警戒心が強く、無人カメラなどで撮影しないとなかなか姿を捉えることができません。今回は研究者の方や環境省の協力を得て、母子が一緒にいる様子などといったイリオモテヤマネコの貴重な映像をお見せします。

マングローブ近くの湿地帯などに生息するイリオモテヤマネコ。非常に警戒心が強く、映像に収めるのが難しい動物です。

──イリオモテヤマネコの子猫の映像、楽しみです。ほかにはどんな動物が見られますか?

伊良波:文字通り、沖縄島北部のやんばるの森に住む「ヤンバルクイナ」です。この森だけに1500羽ほどしか生息していない、飛ばない鳥として有名な希少動物です。番組では夜に木の上で休むヤンバルクイナの様子などをお見せします。ハブから身を守るために木の上に登るのですが、枝の上に片足で立って休んだり、夜が明けてから飛べないヤンバルクイナが木から降りてくる姿は必見です。

ハブを避けて木の上で休むヤンバルクイナ。飛べないため、夜明けには木の幹を伝って降りてきます。

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