特集

2021年3月21日「中国丹霞」

赤い不思議な巨岩と千の滝が見せる絶景

中国に点在する赤い岩山の風景。そのうちの6カ所が「中国丹霞(たんか)」として世界遺産になっています。山水画のような景色、赤い崖にある滝、そびえ立つ巨大な岩の柱などをご紹介します。番組を担当した江夏ディレクターに話をうかがいました。

かつては湖の底だった不思議な赤い岩山

隆起した赤い岩が侵食されてできた地形「丹霞」。まずはその絶景と成り立ちをご紹介します。

──今回の「中国丹霞」とはどのような世界遺産なのでしょうか?

江夏ディレクター(以下、江夏):「丹霞」とは、砂や小石でできた赤い岩が、侵食されてできた地形の中国での名称です。広東省に名前の由来となった「丹霞山」という山がありますが、そこだけでなく中国国内の計6カ所の丹霞地形が1つの自然遺産として登録されています。

──6カ所はどのような場所にあるのでしょうか?

江夏:中国南部にあり、6つの省に広く点在しています。今回は、そのうちの広東省の「丹霞山」、貴州省の「赤水」、浙江省の「江郎山」の3カ所を撮影しています。それぞれで特徴ある景観が見られる丹霞地形です。

「中国丹霞」は、中国南部に点在する丹霞地形6カ所がまとめて登録された自然遺産です。

──具体的にはどのような景観なのでしょうか?

江夏:まずご紹介するのは、丹霞山にある不思議な形をした岩の数々です。柱のように垂直に立つ岩や屏風ように平べったい形のものがあり、不思議な光景です。中には「姉妹峰」や「子宝観音」といった、形を人や仏像に見立てた岩もあります。番組では、そうしたさまざまな岩にドローンによる撮影で迫ります。また早朝の霞かかった丹霞山の景色など、まるで山水画のような映像もお届けします。

地形の名前の由来になった「丹霞山」。不思議な形をした数々の岩が連なっています。

── 山水画のような風景とはさすが中国の世界遺産ですね。ところで、なぜ丹霞地形では変わった形の岩が多くあるのでしょうか?

江夏:丹霞山は、かつては湖だったのです。その湖底に堆積した砂や小石がやがて岩となりました。約7700万年前に湖底が隆起し、その際にできた亀裂が風化や雨水の侵食によって広がり、テーブル状の山が生まれました。さらに風化と侵食が進み、山がさまざまな形の岩になったのです。

幻想的な丹霞山の風景。まるで山水画のような景色です。

──丹霞地形の岩が赤いのはなぜなのでしょうか?

江夏:砂や小石からできた岩に含まれている鉄分が酸化したためです。赤い岩には、さまざまな模様があるのも見ものです。例えば丹霞山では、岩の表面に横方向の溝がたくさんあります。溝があるのは、小石が多く混じった粒の粗い地層で、小石が崩れ落ちることで溝が生まれました。また、縦方向に溝がある岩もあります。縦の溝は、岩山の頂上にある森が生んだものです。森に蓄えられた雨水は酸性化するのですが、その水が岩を溶かしながら崖を流れ落ちた結果、縦に溝ができたそうです。その他に、赤水で見られる、風化でできた蜂の巣のような穴などもあります。

岩が赤いのは、含まれている鉄分が酸化するため。岩壁の表面には、風化や浸食で溝ができています。

風化で脆くなった岩は細かい粒子になり、岩山の上に植物を育む土壌のもととなるのです。

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