放送内容
大西洋の真珠とうたわれるマデイラ島。サッカー選手クリスティアーノ・ロナウドの出身地としても知られる。海底火山の噴火で生まれた島には砂浜がなく、周囲を断崖絶壁が取り囲む。この島の北側に氷河期を乗り越えた貴重な照葉樹の森が広がり世界遺産となっている。森を育んできたのは海から流れ込む分厚い雲。そのおかげで森には常に霧が発生し、水を供給している。島は雨からではなく霧から大量の水を得ているのだ。
5800mの火山島
マデイラ島は海底4000mから噴火し、隆起した火山島だ。最高峰は1800mあまりで、海底からだと富士山よりも高い山である。波や風に削られて急峻な崖が取り囲む。
氷河期を生き残った原生林
島の北側に広がる原生林が世界遺産の森である。氷河期にヨーロッパ大陸では消滅してしまった照葉樹の森が、今もそのまま残されている貴重な森なのだ。
水を生む森と霧
森が残されたのは島の気候に理由があった。海上の湿った空気が貿易風とぶつかると霧が発生、森は霧に覆われる。シダやコケに霧が触れると、水滴となってやがて川や滝となる。
2000kmの水路
雲に覆われる島の北側に比べ、南側は雨が少なく乾燥している。そのため北側の森が雲から集めた豊富な水を、南側へ供給する2000kmもの水路網が島中に張り巡らされている。