特集
注目の!ボン世界遺産委員会 現地リポート
6月28日より、第39回世界遺産委員会がドイツのボンで行われています。その模様を世界遺産のスタッフが現地からレポートしていきます。 レポートは到着次第、特集ページにアップしていきますのでお楽しみに!
いよいよ、「明治日本の産業革命遺産」の審議の日。日韓の協議はギリギリまで続いていました。
「もう、どうなるかわからない。この雰囲気はなに?」
と関係者も言うほど、朝の会場は異様な雰囲気に包まれていました。
そんな中、昨日につづいて新しい世界遺産の登録審議がスタート。5つの世界遺産が、新たに決まりました。
ノルウェイの「リューカンとノトデンの産業遺産」、ドイツの「シュパイヒャーシュタット、コントルハウス地区」)、イスラエルの「ベート・シェアリムのネクロポリスーユダヤ人の再興のランドマーク」、イギリスの「フォース橋」、アメリカの「サン・アントニオ・ミッションズ」です。

© Hans-Dieter Fleger
Author: Hans-Dieter Fleger

© Department for Heritage Preservation Hamburg, Picture library
Author: Wieckmann, Nicolai

© Tsvika Tsuk
Author: Tsvika Tsuk

© Historic Scotland
Author: Duncan Peet

© National Park Service
Author: Robert Howen
そしてランチタイムの休憩へ。ふと見ると、日本代表団のメンバーが会場中庭で、のんびりと昼ごはんを食べています。
「日韓の話がまとまっていないなら、メシなんか喰ってられないはず」
と思って見回すと、他の日本代表団のメンバーも肩の荷が下りたような表情をしています。
午後3時、会議が再開され、最初に「明治日本の産業革命遺産」の審議となりました。
冒頭、ドイツの議長が「日韓が合意に達しました。この件は、討議は行わす、登録を決めたいと思います」と切り出しました。
討議を行わないというのは、世界遺産委員会では異例です。普通は委員となっている各国が納得のいくまで討議し、全会一致で結論を出すのですが、ごくまれに投票になることもあります。しかし、今回は投票も討議もしないで決めるという前代未聞の事態です。
その後、議長が説明をつづけ、本当に討議をせずに、「明治日本の産業革命遺産」の登録を宣言。つづいて、日本代表団、韓国代表団がそれぞれコメントを読み上げ、審議は終了しました。
「討議すると、各国が日韓のどちらを支持するか明らかにしなければならないから、それを避けたのかも」
という声もありました。どちらにつくのもイヤ、というの各国の思いが異例の審議を生んだのかもしれません。
その後も、審議は淡々と進み、トルコの「エフェソス」、メキシコの「パドレ・テンブレケ水利システムの水道橋」、ウルグアイの「フライ・ベントスの産業と文化的景観」が新たな文化遺産に決まりました。

© Austrian Archeological Institute
Author: Niki Gail

© Espacio de la Imagen
Author: Edgar Valtiago

© Municipality of Rio Negro
Author: Hector Gomez
これで、新規登録の審議は終了。今年は、文化遺産23、複合遺産1が新たな世界遺産に登録されました。
プロデューサー 堤