特集

2015年8月9日放送 「幻のサル発見!地底の川をゆく」 チャンアンの景観(ベトナム)

パンツをはいた幻のサル?

湿地に囲まれた猛々しい岩山には、そこでしか見ることのできないサルたちが暮らしていた。ベトナムラングールという、世界で200頭しかいない珍しいサル。その姿を追って湿地帯を進むと、希少なサルがここだけで生き残ってきた理由が見えてきた。

─ここに暮らす変わったサルを知ったのも、やはり取材前の調査ということですね。

石渡ディレクター(以下、石渡):チャンアンに生息しているという、ちょっと気になるサルの写真を見つけました。詳しいことが分からなかったのですが、専門家に確認したところ、ベトナムラングールというオナガザル(ラングール)の一種で、非常に珍しい種であることが分かりました。

ベトナムラングールはチャンアンにのみ生息する珍しいサルです。

─ちょっと気になるサル……と言われると、聞いているほうも気になりますね。どういった特徴があるサルなのですか?

石渡:ベトナムにはさまざまな種類のオナガザルが生息していますが、ベトナムラングールの最も大きな特徴はその見た目ですね。まるで白いパンツをはいたような柄なのです。また希少種でもあり、わずか200頭ほどしか生息していないとのことです。

特徴は何といってもこの模様。まるでパンツをはいたサルですね

─白い色がまるで下着のようですね(笑)。大変希少なサルということですが、チャンアンで生き残っているのはなぜでしょうか?

石渡:ベトナムラングールは、他の動物が近づきにくい場所で生活しています。そのため、天敵が少ないということが理由のひとつだと思います。実際、取材のために生息地に近づくのはひと苦労でした。

ベトナムラングールの生息地に近づくのは大変です。蓮や葦が生い茂る川に分け入る取材班。

─どのような場所で生活しているのですか?

石渡:まさに奇岩の立ち並ぶ切り立った崖の周辺で生活しています。周囲に蓮や葦が生い茂る湿地帯が広がっているので、近寄るには現地の人々が漕ぐ小さな竹船に乗るしか方法がないのです。蓮や葦をかき分けて進む必要があり、距離はそう遠くないのですが時間がかかりました。また、石灰岩は浸食されやすいので、風雨で砕けたり割れたりします。そのため岩肌は荒れて尖っていて、下手に手を着くとケガをしてしまうような危険な場所でした。

天敵が近寄れない険しい岩山でベトナムラングールは暮らしていました。

─大変な苦労を乗り越えてベトナムラングールを探しに行ったのですね。無事に出会うことはできましたか?

石渡:現地の人に「1カ月くらい取材を続けないと出会うことはできない」などと、散々脅されながら取材に挑みました。しかし運良く、現場に着いてすぐに出会うことができたのです。そのユニークな姿を番組でご覧ください。