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2015年8月9日放送 「幻のサル発見!地底の川をゆく」 チャンアンの景観(ベトナム)

Trang An

チャンアンは、ベトナムの古都ホアルーがあるニンビン省の隠れた観光スポット。カルスト地形特有の奇岩が立ち並び、数多くの洞窟があり、地底の川が流れる──美しくも複雑な地形を持つ雄大な景勝地は、竹で作られた小舟に揺られながら風景を楽しめる場所だ。また希少な動物が暮らすほか、東南アジアで最も古い時代の住居跡も発見されている。

奇岩の間に突然現れる真ん丸の島

取材前、複雑な形の岩山が連なるチャンアンの景観について調べ始めた石渡ディレクターは、1枚の気になる写真に出会った。奇岩が並ぶ景色の中に、まん丸の島が浮かんでいるのだ。まるで誰かが作ったかのような、この不思議な形の島はいったい何なのか? 取材班はベトナムに飛んだ。

─今回はベトナムの世界遺産ですが、まずはどのような場所なのか教えてください。

石渡ディレクター(以下、石渡):ベトナムの北部にある景勝地です。石灰岩で形成されたカルスト地形で、風雨や川などによる浸食によって形作られた奇岩が立ち並んでいます。雄大で迫力のある景観が楽しめる場所で、2014年に世界遺産に登録されたばかりです。ハノイから車で2時間ほどとアクセスもいいのですが、日本人にはまだあまり知られていないので、観光地としては超穴場です。

チャンアンの特徴はカルスト地形特有の複雑な形をした岩たち。

─チャンアンの景観は、同じベトナムの世界遺産として有名なハロン湾のような印象を受けますね。

石渡:石灰岩でできた奇岩が並ぶ様は、ハロン湾に似ています。ただし、チャンアンは海ではなく内陸にあり、周囲には川が流れています。また、浸食の進行具合にも違いがあり、孤立した岩が多いハロン湾に比べると、チャンアンの岩は重なり合うように林立していて密度が高いのが特徴です。岩と岩の間には浸食によってできたコックピットと呼ばれる巨大な窪地があります。私が最初に興味を引かれたのは、取材前に調査していたときに見た、コックピットに浮かぶ島でした。

観光客は手こぎの船に乗って岩の間を巡ります。

─それはどのような島なのですか?

石渡:自然が作り出したカルスト地形の中にあって、まるで人の手で造られたのようにまん丸な形をしているのです。資料を調べても、専門家に話を聞いても詳しいことは分かりませんでした。そこで、その島に直接行ってみることにしたのです。

岩と岩の間にはコックピットと呼ばれる窪地があります。そんな中にひときわ異彩を放つ丸い島が……。

─写真で見ると、確かにまん丸ですね。実際に訪れてみてどうでしたか?

石渡:地元の人もその形については特に気にしていなかったようです。確かに上空から見ないとその形は分からないですからね(笑)。われわれも現場に到着して周囲を回りましたがピンと来ず、ドローンを飛ばしてみて初めて形が見え、その島の丸さにあらためて驚かされたのです。この島がどうやってできたのか、番組でその謎に迫ります。

人工的な施設のようなまん丸の島ですが、どうやって形作られたのでしょうか?

─チャンアンの地形には、ほかにどのような特徴がありますか?

石渡:チャンアンの岩山は手こぎのボートに乗って見学します。岩には浸食でできた洞窟があり、そこには地下を流れる川もあります。番組では、自然が作り上げた芸術のような奇岩や、数々の洞窟を巡る遊覧の旅にご案内します。

岩山には洞窟があり、地底を川が流れていました。観光客を乗せた船がそこに吸い込まれていきます。