特集
2015年7月19日放送 「地中海の島に ナゾの巨石文明」 バルーミニのヌラーゲ遺跡(イタリア)
地中海にあった巨大ピラミッド
サルデーニャの石造りの遺跡は、その精巧さと目的にさまざまな謎が残されている。そんな遺跡の中で番組が注目するのは、巨大なピラミッドと、まるで機械で切り出したような精密な加工が施された、石造りの井戸だ。

天野ディレクター(以下、天野):サルデーニャ独特の遺跡はヌラーゲだけではありません。この島で栄えていた高度な石造りの文明は、他にも謎の多い建造物を残しています。そのひとつは、なんとピラミッドなのです。
─ピラミッドといえばエジプトが有名ですが、同じような形状なのでしょうか?
天野:階段ピラミッドのような形状ですが、中に墓があるわけではありません。サイズは30×40メートルほどと大きく、長いスロープが作られています。古代メソポタミアのジッグラトにも似た作りで、何か共通点を感じましたね。
ヨーロッパの島に、ピラミッドがありました。ピラミッドの正面には長いスロープが付いています。

─どのような目的で建てられたピラミッドなのですか?
天野:このピラミッドは5000年以上前に建設されたものなのですが、やはり謎が多いのです。そもそもこんな階段状のピラミッドは、サルデーニャ島にはひとつしかありません。エジプトなどの他の地域との交流の跡ではないか、もしくは神殿のような建物の土台だったのではないかなど、諸説あります。
5000年以上前に石を積み上げて作られたこのピラミッドも、何のために造られたものなのかわかっていません。

─ここでも謎が出てきましたね。
天野:はい。でもさらに謎だらけの建造物があります。島の各集落にはそれぞれ井戸があります。そんな中にひとつだけ、特別な井戸が建設されていました。サンタ・クリスティーナにある聖なる井戸がそれです。どうやら井戸や水に対する信仰というものがあったようなのです。
三角形の入り口を持った、明らかに他のものとは異なる目的で作られた井戸が、サンタ・クリスティーナにありました。

─井戸への信仰ですか。それはどのような形で表されているのでしょう?
天野:サンタ・クリスティーナの井戸は、入口からして他の井戸とは異なります。地下8メートルほどの深さなのですが、三角形の入口に地下に降りるための階段が造られています。その石積みは非常に正確で、デザインも斬新です。どうやって造ったのか、いまだに解明されていません。ちなみにこの井戸は、造られてから今まで枯れたことがないと言われています。実際に番組でご覧になると、その精巧さがよくわかると思います。

25段の石段を下ると、これまで一度も枯れたことがないと言われる井戸にたどり着きました。
サンタ・クリスティーナの井戸の石積みは、まるで現代の技術で復元したかのような緻密な作りになっています。
