特集

大アフリカ・スペシャル I ・II

数々の世界遺産が連なる巨大な溝

─第2回の放送では、どのような世界遺産が登場しますか?


大アフリカ・スペシャル I ・II

小澤:2回目の放送は、環境に焦点を当てています。アフリカの大地が引き裂かれたことで、変化した環境。そこで、動物たちがどのように進化してきたのかを見ていきます。アフリカで2番目に高いケニア山と、3番目のルヴェンゾリ山地。ゴリラが暮らす2つの森、ブウィンディとカフジ・ビエガ。さらにサバンナが広がるセレンゲティを紹介します。そして、トゥルカナ湖の発掘現場では、人間のルーツを探りました。


―アフリカといえばジャングルやサバンナを思い起こしますが、これらもグレートリフトバレーが生み出した環境なのですね。


大アフリカ・スペシャル I ・II

小澤:アフリカの西側から吹く湿った風がグレートリフトバレーの山々にぶつかって雨を降らし、そこにジャングルが形成されました。ここには地球上に700頭ほどしか残されていない、貴重なマウンテンゴリラが生息しています。ゴリラの撮影のとき、スタッフが近づいてきたゴリラに脚を引っ張られたことがありました。幸い無事でしたが、本当に身動きできませんでしたね。この模様も番組でお届けします。



─一方のサバンナはどのようにして生まれたのでしょうか?


小澤:ジャングルに雨を降らせた西風は、グレートリフトバレーの東側に来るときには乾燥しています。そのため、広大なサバンナが形成されました。その結果、それまで森の中にいた動物たちが平原に移動し、それぞれ独自の進化を遂げました。例えばキリンは、高い位置に残ったアカシアの葉を独占してたべるため首が長くなり、チーターは見通しの利く平原で獲物を狩るために時速110キロというスピードを手に入れました。人間もまた、その変化の中で登場したと考えられています。


─グレートリフトバレーが、人類の発祥にも関連しているのですね。


小澤:はい。人類はアフリカが発祥です。1984年にトゥルカナ湖の西側で、160万年前の少年の化石が、ほぼ全身がそろった状態で発掘されました。グレートリフトバレーが造り出したサバンナという環境で、かつては森に住んでいた猿も木から降り、平原を歩き始めたと考えられます。