特集

絶海に秘められた海洋生物の宝庫

─どうしてここに生物たちが集まっているのでしょうか?


トゥバタハ海洋公園

愛場:サンゴの壁には深い海から栄養分がわき上がっていて、プランクトンなどの住処となっています。それを目当てに多彩な生物たちが棲み着いていて、魚たちも集まり、生物の密度がものすごく高い場所になっているんです。撮影した変わった生き物たちが番組の中で次々と登場します。魚の種類も豊富で、エサを求めて泳ぐ魚たちがこの崖に沿って上下に泳いでいます。ギンガメアジやバラクーダなどの大型魚が大群で回遊していたり、タイミングさえ合えばジンベエザメも見られるそうです。


―環礁は生き物たちであふれているのですね。サンゴそのものはどんな様子なのですか?


愛場:とにかく種類が豊富です。世界に存在するサンゴは約800種と言われていますが、ここにはそのうちの半分以上が生息しています。さまざまな形のサンゴが海底に複雑な景観を作っていて、海中を進んでいくと、まるでジャングルの中を歩いているような気分になります。



─環礁の内側はどのようになっているのでしょうか?


トゥバタハ海洋公園

愛場:環礁の内側は打って変わって極端に浅い海です。底には白い砂が積もっているのですが、これは実はサンゴのかけらです。死んだサンゴが砕けて破片や粉末になったり、ウミガメの一種であるタイマイのほか、ブダイやフグなど歯の丈夫な魚たちがサンゴをかじった後、フンとして排出したものが積もったものなのです。そうしてできた砂地には、チンアナゴという細長い魚が棲み着いていて、愛嬌のある姿を見せてくれました。


─環礁の内側は、外側とはまったく異なる世界なんですね。


愛場:どちらも生き物であふれている点は同じですが、環境は違いますね。内側には潮の流れの影響で砂がたまり、砂州のような小さな島もあります。ここは絶滅危惧種を含む鳥の営巣地になっていて、約3万羽が暮らしています。普段は上陸が禁止されていますが、今回は特別に許可をもらって撮影させてもらいました。