特集

2億年分の地球の歴史が詰め込まれた場所

─人が住んでいても野生のコアラは住み処を変えないのですか?


石渡:コアラは生まれた場所から動かない習性があるのだそうです。レッドランドは今は住宅街ですが、以前はコアラが好むユーカリの森でした。学校の裏の公園や道路脇の街路樹など、ユーカリが残された場所に野生のコアラが住み続けているのです。今では人々はユーカリの伐採をやめ、住人や市の担当者が毎日コアラの数をチェックするなど保護に努めています。


―番組では、たくさんのコアラが見られそうですね。ほかにも変わった動物は登場しますか?


ゴンドワナ雨林

石渡:オーストラリアには、古代からの生き残りと言われている動物が多く生息しています。番組ではカモノハシとハリモグラを紹介しています。ハリモグラは日本ではなじみのない動物ですが、主食はシロアリなんです。カモノハシはクチバシのある動物として有名ですが、毒を持っている珍しいほ乳類でもあるんです。いずれもほ乳類ですが「単孔類」という種類で卵を産みます。彼らは、ほ乳類の最も原始的なかたちをしていると言われています。


―オーストラリアには古代の地球の名残が様々なかたちで残されているのですね。最後に、放送を心待ちにしている皆さんにメッセージをお願いします。


石渡:オーストラリアでの取材は、2億年前のゴンドワナ大陸の記憶から始まり、そこから大陸が移動した証明となる木々や、太古の姿を残した動物との出会いなど、地球規模の壮大な歴史に触れる、ロマンあふれる旅になりました。その長い地球の歴史がギュッと詰まった世界遺産の魅力をご覧いただけたらと思います。またコアラやカモノハシ、ハリモグラなど愛嬌たっぷりの動物も登場するので楽しみにしていてください!



世界遺産の歩き方

広大な自然遺産であるゴンドワナ雨林だが、北端の国立公園群はゴールドコーストやブリスベンからのアクセスもよく、手軽に参加できるツアーも多く用意されている。レインフォレストを実際に歩くことも可能だ。ただし海からのしめった風の影響で雨が多いため、雨対策はとっておきたい。また、森の中に限らずスコールのような通り雨もあるので、景色を楽しみたいときは天候が回復するまでしばらく待ってみるのも手だ。